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東京五輪参加者の来日が相次いでいる。その数が増えるにつれて心配になるのが新型コロナウイルス感染者の入国だ。既に入国時の検疫で複数の感染者が発見されている。専門医は「検疫強化による水際対策の徹底はもちろんだが、入国後の発症に備えて、対処の手順や施設の確保なども必要だ」と訴えている。
東京五輪・パラリンピック選手村の報道陣向け内覧会=2021年06月20日=EPA時事
入国後の経過観察や、選手らを隔離するバブル方式の規模、各国報道陣の移動規制など、多くの課題が指摘されている。これらの中でも特に大きな負担が生じるのが、選手や関係者が入国後に発症した場合の対応だ。
渡航者医療に詳しい東京医科大学病院渡航者医療センター(東京都新宿区)の濱田篤郎特任教授は「選手村に集まっている選手は、村外のホテルなどを借り上げた隔離施設に入ってもらって経過を観察することになっているが、クラスターが発生した場合に対応しきれるか。医療スタッフの数も含めて心配だ」と話す。リバウンドの兆候が見られる日本の感染状況で、地域医療の負担になることが危惧されると濱田教授は指摘する。
「症状が無い、または軽症ならホテルなどの一時療養施設に入ってもらうのだろうが、理由の説明や経過の観察、接触歴の確認などを日本語以外で行う負担は小さいものではない。しかも、感染者であれば医療通訳を依頼するのも難しいかもしれない」と具体的な問題を指摘する。
入院が必要になった場合はさらに問題は深刻になる。通常なら所属する選手団や競技団体が間に入ることが多いが、指定感染症の新型コロナでは面会すら難しい。
濱田教授は「病状や治療の進め方、悪化した場合の人工呼吸器の装着などに際して、内容を説明して患者から同意を得るのは日本語でも大変だ。それを英語または患者の母国語で得なければならない。日常の問診や身体ケアなどでも言葉の問題が生じる。外国語での医療は通常の2倍のエネルギーが必要」と指摘する。
さらに、日本国内での感染が再拡大し、医療現場が逼迫(ひっぱく)した場合、対応はより難しくなる。どのように対処するのか、早急に関係者間で認識を共有することが重要になる。濱田教授は「できるだけ早く課題をまとめて、対処法を盛り込んだマニュアルを作成して、競技団体や医療機関に配布するしかない。事前合宿などが開催される自治体などとも情報の共有化を進める必要がある」と強調している。(喜多壮太郎)
(2021/07/07 05:00)
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