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乳児肝炎は、病名は知られていないが肝機能の悪化で放置すると危険なケースもある。原因はさまざまで、自然に治る場合もあるが、済生会横浜市東部病院(横浜市)小児肝臓消化器科顧問の藤沢知雄医師は「最も注意したいのは、胆道閉鎖症です。黄疸(おうだん)が生後2週以降も続き、便の色が白くなってきたら、早めに小児科を受診してください」と呼び掛ける。
「便色カード」で子どもの便の色を比較できる
▽診断技術が進歩
乳児肝炎は、生後1カ月以内に乳児に黄疸が見られ、肝機能が悪化する病気だ。原因不明なものもあるが、診断技術の進歩に伴い原因が分かる例が増えてきた。
主な原因は、胆道閉鎖症、シトリンというタンパク質の欠損で肝臓の代謝異常が起こる「新生児肝内胆汁うっ滞」、アラジール症候群という遺伝性の病気のほか、EBウイルスやサイトメガロウイルスの感染などが挙げられる。一方、原因不明なものを特発性新生児肝炎と呼び、1歳くらいまでに自然に治ることが多い。
注意したいのは胆道閉鎖症だ。約1万人に1人の割合で発症し、放置すると2~3年で肝不全により死に至る。
藤沢医師は「乳児期には、特に異常はなくても黄疸が出ることがあります。多くは母乳の影響による生理的なものですが、黄疸が生後2週以降も続く場合は、早めに血液検査をしてください」と注意を喚起する。肝機能に異常があれば、さらに詳しい検査を行い、原因を突き止める。
▽便色カードを活用
胆道閉鎖症の早期発見は便の色の変化が重要なポイント。肝臓で作られた胆汁が十二指腸に流れていく通り道(胆道)が詰まると、便の色素となるビリルビンが腸に流れず、白っぽくなる。
2012年4月から、母子手帳に「便色カード」がとじ込みで付いた。7段階の色見本と実際の乳児の便の色を見比べるもので、異常にいち早く気付ける仕組みという。
「便の色が薄い方から1~3番目に近い場合は、早めに小児科を受診してください。自分で判断できない場合は、スマートフォンで便を撮影して持参してもよいでしょう。乳児肝炎は放置しないことが重要です」と藤沢医師は強調している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2021/10/11 05:00)
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