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秋から冬にかけて症状が表れ、暖かくなる翌年の春頃に改善するパターンを繰り返す季節性うつ病。やまでらクリニック(東京都武蔵野市)の石本佳代院長は「一般的なうつ病とはやや症状が異なり、他の似たような病気と区別する必要があります」と話す。
周期的にやる気の低下や倦怠感、過食などに襲われる
▽過食、体重増加、過眠
一般的なうつ病は、気持ちの落ち込みなどの症状が、季節に関係なく2週間以上続く。季節性感情障害や冬季うつ病、ウインターブルーとも呼ばれる季節性うつ病は、10月ごろから冬にかけて倦怠(けんたい)感ややる気の低下などが表れ、過食や急激な体重増加、過眠などの症状が翌年の3月ごろまで続く。
石本院長は「特にチョコレートなどの甘い物や炭水化物を好むようになり、常に憂鬱(ゆううつ)な気分にさいなまれる抑うつ症状は比較的少ないのが特徴です」と説明する。
原因は日照時間の減少にあると言われている。冬は日照時間が短く、日光で分泌が促進されるセロトニンが減少する。脳内神経伝達物質の一つで、睡眠や食欲、精神の安定に関与し、女性ホルモンとの関連も深い。
海外では緯度の高い地域や女性に多いとされる。国内では緯度の違いで患者数に差はないが、女性に多いという。「解明されてはいませんが、光に対する過敏性に差があるのかもしれません」
▽日光浴びて予防
診断は似た症状の非定型うつ病や双極2型障害との鑑別を行う。季節による症状の差や感情的な誘因の有無が診断のポイント。「診察時は本人をよく知る家族や友人に同席してもらうといいでしょう」
治療はセロトニンの分解を抑制するSSRIという抗うつ薬の服用から始める。併せて太陽光の代わりに2500~1万ルクスの人工光を浴びる光療法を行う施設もある。
患者自身でできることも多い。「起床時間や就寝時間で規則正しい生活リズムをつくること。セロトニンを増やすには、人との会話のほか、日中のスポーツやウオーキングなどリズミカルで単調な行動を繰り返すのが効果的です。夏の間にできるだけ日光を浴びておくのも、症状の軽減につながります」
季節性うつ病は症状悪化の予測ができ、予防も可能だ。「周期的な症状に覚えがあったら、早めに精神科や診療内科を受診してください」と石本院長は呼び掛けている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2022/03/12 05:00)
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