ハヤミミDr.純子のメディカルサロン

第30回 女性上司と適応障害
表現法の違いとジェンダー意識に注意

 人事異動の季節、新入社員を迎える季節です。これからの3カ月は、適応障害予防に注意を払う時期といえるでしょう。

 上司が女性でやりにくいという声は最近、減ってきました。女性が管理職になるという状況は、まだまだ多くはありません。それでも、意識の中になじんできていますし、女性が管理職になるためのセミナーも行われています。

トップも外国人女性。写真は日本マクドナルドのサラ・カサノバ社長


 ◇上司は外国人女性

 ただし、このところ気になることがあります。それは、これまで完全に国内対象のビジネスを展開していた企業が、急に海外と連携するビジネスを行うように変化し、外国人女性が上司になり、コミュニケーションに支障を来して、適応障害に陥る男性からの相談が増えていることです。

 例えば、30代後半の課長職男性Aさん。これまで海外での仕事経験もあり、国内企業にヘッドハンティングされました。その企業で海外向けの営業を展開するためです。

 モチベーションも高く、張り切って仕事に就きましたが、上司の部長が中国人女性でした。この上司は、米国での仕事が長く、スキルも高く、はっきり物を言うタイプ。

 何か提案しても、NOと言われることが多い。また、営業データなどをいちいち細かく書類に記載して渡すように言われ、次第に自信がなくなりました。

 「こんな細かいことをなぜ自分が」という気持ちに陥り、数カ月後に不眠や食欲低下を起こし、心療内科を受診して、適応障害と診断されました。

 ◇自信を失い、眠れなくなる

 40代後半のBさん。仕事スキルを会社から評価されてきた部長職です。ビジネスを東南アジアに広げようということで、オーストラリアを拠点とする部門と連携することになりました。

 週1回、インターネット会議で上司に当たる豪州人女性と話すのですが、自分の提案に非常にはっきり「それは不適切な提案です」と言われたり、他の案を提示されたりで、すっかり自信を消失してしまいました。

 会議の2日くらい前から気が滅入り、眠れなくなり、数カ月で体重が減少。うつ気分に陥り、適応障害と診断されました。

 ◇はっきり言うか、ほのめかすか

 気持ちを伝えるために、全てを言葉で表現する。これは低コンテキストといわれています。全ては言葉通りに伝え、言葉通りに受け取る、というコミュニケーションです。

 一方、行間や間で気持ちを伝えるのが、高コンテキストです。言葉通りではなく、雰囲気やあいまいさの中で気持ちを伝える。いわゆる空気を読む、忖度(そんたく)です。日本で行われるコミュニケーションです。



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