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中高年で注意しなければならない肥満は、加齢や運動不足で筋肉量が減少し、筋力や歩行機能が低下する「サルコペニア肥満」だ。東京都健康長寿医療センター研究所(東京都板橋区)フレイルと筋骨格系の健康研究部の金憲経部長は「体脂肪が多く、筋力の衰えを感じるなら要注意です。食事と運動で予防と改善を心掛けましょう」と話す。
持病や痛みがある場合は医師に相談の上、椅子体操から
▽転倒や尿失禁も
サルコペニアは、ギリシャ語のサルコ(筋肉)とぺニア(不足)が語源。肥満が合併すると、病気や要介護のリスクが高くなる。金部長は「太り気味でも体をよく動かし、年齢や体格に見合った筋肉量を維持していれば、健康状態は比較的良好です。一方、サルコペニア肥満では、メタボリック症候群の他、転倒による骨折、尿失禁、腰痛、膝痛などが多く見られます」と説明する。
筋肉量の減少は自覚しにくい。「肥満で活動量が少なく、歩行が遅い(1秒当たり1メートル未満)など筋肉が衰えている場合、サルコペニア肥満の可能性があります。他の病気が隠れていることもあるので、かかりつけ医などに相談してください」
▽無理せず運動を継続
予防と改善には、2種類の運動(〔1〕体脂肪を減らすウオーキングなどの有酸素運動20~40分〔2〕筋力増強を目的に太ももや腹部などの筋トレ1、2種)を週2回以上―と、食生活の改善が有効だ。持病や痛みがある場合は医師に相談の上、椅子に座って行う運動から始める。無理のない範囲で続け、基礎体力がついたら有酸素運動と筋トレにステップアップするとよい。
食事は、糖質や脂肪、エネルギーを取り過ぎず、タンパク質が不足しないようにする。特に運動後は、筋肉量を増加させるロイシンを含む必須アミノ酸を取るとよい。「ロイシンが多い食品として、マグロの赤身やアジ、脂の多い皮を除去しやすい鶏肉などを薦めます」と金部長。
運動を3カ月以上続けたサルコペニア肥満の人の多くで、血液検査の値や歩行速度、尿トラブルなどに改善傾向が見られたという。金部長は「日常生活で小まめに活動量を増やすことが大事。おいしく食べて、その分しっかり動きましょう。食事と運動のバランスを程よく保つことが健康維持に重要です」と強調している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2022/05/14 05:00)
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