治療・予防 2024/12/24 05:00
進行を予測する指標発見
~間質性肺炎の早期治療で(大阪大学大学院 榎本貴俊医師ら)~
著名人の自死に関する報道が後追い自殺を誘発しかねないことから、近年はマスメディアの姿勢が変化している。反対に、報道が防ぐケースもあるとされ、モーツァルトのオペラで自殺をやめた登場人物にちなみ「パパゲーノ効果」と呼ばれる。自殺予防を研究する筑波大学(茨城県つくば市)災害・地域精神医学講座の太刀川弘和教授に、個人ができることを聞いた。
▽報道に対照的な反応
報道の内容によっては、その後短期間で自殺者が相次いだり、模倣して自ら死を選ぶ人が増えたりする。これは、主人公が自殺したゲーテの小説になぞらえて「ウェルテル効果」と呼ばれる。太刀川教授によると、故人と性別や年齢層、境遇などが同じで、「死にたい」という気持ちがそれほど強くない人は、ウェルテル効果のリスクが高い。
一方、自殺の危機を乗り越えた人の経験を伝える報道で、同じ境遇にある人が思いとどまるパパゲーノ効果もある。対照的な反応だが、同じ境遇の他人の行動の影響という意味では、本質は変わらないと言える。
▽気にかけ、話を聞いて
パパゲーノ効果はマスメディア報道によるものなので、個人間のコミュニケーションに当てはまるとは限らない。だが、悩む当事者との間に信頼関係があれば、困難を乗り越えた別の人の体験談を紹介したり、相談先の情報を提供したりする価値はある。
まず、「眠れない、食欲がない、気分が落ち込むといった、うつのサインに気付くことです」と太刀川教授。声を掛けるときは「『つらいのかな。死にたいとか、考えていないよね』とダイレクトに聞いた方がよいでしょう」。その上で、じっくり話を聞く。反応を見ながら、心の支えになるようなことを共に考えてもよい。
話の内容に緊急性がなければ、精神科や公的機関の相談窓口などの情報を提供する。複数の悩みを抱えてうつ状態になっているなら、精神科が候補になる。
本人は、過去に相談先で適切な対応をされなかった可能性もあるので、次にそうなった場合でも自分は見守り続けると伝えておく。太刀川教授は「一人では対応できないかもしれないが、あなたのことを守りたい」と相手に話し、複数で対応することを勧める。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2022/06/16 05:00)
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