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夏休み明け前後に子どもが自殺
衝動的に死を選ぶ

 毎年、夏休みが終わる時期の前後に話題になるのが、子ども、特に思春期の児童や生徒の自殺だ。この中には、長い夏休みで生活習慣が変化し、学校生活と切り離されていた生活から、再び学校での生活に戻る際のストレスを受け止めきれず、衝動的に現実から逃避しようとした事例が少なくない、といわれている。

2学期を楽しみにしている子どももいる一方で…(写真は本文とは関係ありません)

 ◇衝動的に一線を越える

 こうした問題にどう対応したらよいのだろうか。聖マリアンナ医科大神経精神科で児童思春期専門外来を担当している小野和哉特任教授は「ストレスに追い詰められて抑うつ状態に陥り、精神的な視野狭窄(きょうさく)を起こして死を選ぶ、という点では大人と同じだ。

 しかし、いろいろ苦悩を経た上で自殺に至る大人に対し、現実の苦しさから死の意味を十分考えることなく、その場の苦痛から逃れたいという一心から衝動的に一線を越えるケースが少なくない」と分析する。

 多くの子どもにとって、一日の大半を同じ空間で同じような年齢だけと共に同じことをする「学校」という、ある意味閉塞(へいそく)した状況は大きく、そこで感じるストレスも強くなる。

ボッチャの体験会でルールを学ぶ子どもたち=東京都三鷹市、2019年08月23日(写真は本文とは関係ありません)

 人に分からぬストレスの大きさ

 そんな学校生活から切り離されるのが夏休みだ。小野教授は「子どもにとって、学校での1カ月は大人の1年くらいの重さがある。1カ月前後の夏休みは大人にとって1年間の休職と同じような影響を与えると考えてもらえれば、2学期が始まる前後のストレスの大きさが想像できるのではないか」と話す。

 それでも、夏休み中に学校や家庭から離れて閉塞した状況から視点を転じることができ、新たな人間関係に接する体験を得られれば、2学期を迎えてのストレスは軽減できる。

 ◇家族以外との接触

 「お盆の帰省や夏祭りなど地域のイベントで学校生活では出会えない人たちと知り合う機会が減ったのではないだろうか。休み中に家にいる時間が長ければ、家族以外との接触が少なくなり、対人関係も広がらないままになってしまう」と、小野教授は問題点を指摘する。

 ただ、ストレスにさらされた場合にインターネットのゲームなどに依存したり、自宅に引きこもったりするという手段でストレスを回避する子どもも少なくないようだ。小野教授は「逆に、ストレスに耐えようとして耐えきれなくなった子どもが抑うつ状態を経て自殺を選ぶ可能性が高い」と話す。

 抑うつ状態になったとき、大人は自分のつらさを周囲に言葉にして伝えることもできる。ただ、子どもにとってはそれが難しい。

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