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加齢とともに膝が痛くなり、旅行や趣味が楽しめなくなったという人は少なくない。中高年世代を悩ませる代表的な膝の疾患「変形性膝関節症」について、帝京大学病院(東京都板橋区)整形外科の中川匠教授に聞いた。
変形性膝関節症の原因
◇患者数は約2500万人
変形性膝関節症は、リウマチなどで発症することもあるが、ほとんどは膝の関節でクッションの役割をする軟骨が変形して起こる。国内の患者数は約2500万人とされる。「初期は歩き始めると痛む程度。だが、進行すると少し動くだけでも強い痛みを感じ、膝がО脚に変形することもあります」
階段をゆっくり上り下りするだけでも、膝には体重の3.5倍の負荷が掛かる。加齢により膝の関節を支える筋力が低下した状態で、駅の階段を慌てて上り下りするような習慣を続けると、軟骨が擦り減ってできるくず状の物が関節の滑膜(かつまく)を刺激したり、骨同士が擦れ合ったり、突起ができたりして症状を悪化させる。
◇より正確な手術が可能に
治療の基本は、足の筋力を向上させ、膝関節に掛かる負荷を減らすために運動と減量に努めることだ。その上で、鎮痛薬を使ったり、関節にステロイド薬や関節液の成分であるヒアルロン酸を注射したりする。専用の靴の中敷きを使うこともある。
こうした治療でも症状が治まらず、日常生活に支障を来す場合、人工関節を装着する手術が検討される。ただ手術の際、骨を削る厚みと角度に誤差が生じるだけでも、歩きにくかったり違和感が残ったりすることがある。
「手術支援ロボットを用いる最大のメリットは、このような誤差を避けられることです」と中川教授。手術は、事前に3次元のコンピューター断層撮影(CT)検査で患部を立体的に捉え、骨の厚み、角度を正確に記録した治療計画システムに沿って行われる。器具が予期しない部位に差し掛かると、自動的にブレーキがかかるようになっている。短時間で正確な手術を行えるため、体の負担が軽減され、より早期の退院が可能になる。
2019年から手術支援ロボットを使った手術が保険適用になった。中川教授は「膝の痛みを年のせいと諦める時代ではありません。早めに整形外科にご相談ください」と話している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2022/11/22 05:00)
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