治療・予防

関節への注射療法が拡充
変形性膝関節症(帝京大学医学部付属病院整形外科 中川匠教授)

 膝の痛みで階段の昇り降りや、しゃがむ、正座するといった動作が困難になる変形性膝関節症。高齢者ほど有病率が高く、活動的な生活を続けるためには適切に対処しておきたい病気だ。最新の治療について、帝京大学医学部付属病院(東京都板橋区)整形外科の中川匠教授に聞いた。

 ▽高齢女性の半数以上

 変形性膝関節症は加齢で生じる病気で、関節内の軟骨が擦り減り、炎症で痛みや腫れ、動きの制限などを来す。外出がおっくうになり、筋力が低下したり気分が落ち込んだりする恐れがある。進行すると手術が必要になることもある。

 国内の患者数は2530万人、うち780万人は痛みなどの症状があると推計されている。特に60代以降の女性では有病率が50%以上になる。

 治療の基本は運動療法で、太ももの筋肉を強化して膝関節をしっかり支えられるようにする。運動療法と食事療法で適切な体重を維持することも、膝の負担を減らすために重要だ。

 それでも痛みが軽減しない場合や運動できない場合は、消炎鎮痛剤の内服薬や貼り薬などで和らげる。

 ヒアルロン酸を関節内に注射して軟骨の表面を潤滑にする治療法(ヒアルロン酸関節内注射)もあり、消炎鎮痛剤が効果不十分な患者を中心に使われている。ただ、注射が週1回と頻繁に通院する必要がある。

 ▽鎮痛と関節潤滑

 今年5月から、ヒアルロン酸に消炎鎮痛剤を化学的に結合させた新しいタイプの関節内注射剤が使えるようになった。注射後、関節内でそれぞれの成分に分かれ、動きを滑らかにする効果と炎症と痛みを抑える効果を発揮する。注射は4週に1回で済む。

 臨床試験では痛みが改善し、投与を1年間続けても効果が続いた。重大な副作用として急激な過敏反応(アナフィラキシー)が報告された。

 中川教授は新薬を検討する例として〔1〕従来の治療で炎症や痛みをコントロールできない〔2〕膝関節の炎症が急に悪化した〔3〕週1回の通院が難しい〔4〕他の病気との兼ね合いで消炎鎮痛剤の内服を避けたい―などの患者を挙げる。

 その上で、「痛みの改善は運動療法を行う上でも大切なので、整形外科に相談してほしい」と呼び掛ける。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

【関連記事】


新着トピックス