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6月に発表された政府の「経済財政運営と改革の基本方針2022」に、全ての国民に毎年の歯科健診を義務付ける「国民皆歯科健診」の具体的な検討が盛り込まれた。「オーラルフレイル」対策や疾病重症化予防への歯科専門職の関わりの必要性を提言してきた日本歯科医師会(東京都千代田区)の小山茂幸常務理事に話を聞いた。
現在の歯科健診の対象者と根拠の法律
◇口腔機能低下で死亡リスク増加
オーラルフレイルとは、歯や口の機能のささいな衰えのことをいう。滑舌の低下、食べこぼし、かめない食品が増えるなどの症状が見られる。放置すると食べ物を取れなくなり、栄養不足で筋力が衰え、それが元で転倒などによる骨折で入院生活が長引き、寝たきりになることもある。
「オーラルフレイルは、体の虚弱状態を意味するフレイルの前段階と言えます。元気でいるためには、オーラルフレイルの段階で健康な口腔(こうくう)機能に戻すことが大切です」
高齢者を対象とした東京大などによる調査(18年発表)によると、オーラルフレイルのある人は健康な人に比べ、要介護になる割合が2.4倍、死亡する割合は2.2倍になるとされる。
オーラルフレイル予防のポイントは▽歯を失わない▽口の機能を保つ▽かかりつけ歯科医を持つ―の三つ。「ただし、歯が20本以上あっても、口腔機能が低下すると、かむことや飲み込むことが難しくなります」
歯が失われる原因の約4割は歯周病だ。自分で十分に歯を磨けていると思っていても、実は不十分なために歯こうが残ってしまう。歯科医院で専門的に歯こうなどを除去すれば、予防することができる。
◇大切な歯科健診
現在、歯科健診の受診義務があるのは、1歳半、3歳児、小中高校生。企業や市町村での無料の歯科検診も行われているが、過去1年間に受診する率は、20歳以上で52.9%(16年度、国民健康・栄養調査)にとどまっている。
年齢によっては生活環境が変わり、虫歯になったり、歯周病になったりするリスクが増す。「ライフステージに応じた歯科健診の整備・拡充が必要で、国民皆歯科健診はその一歩です。かかりつけ歯科医を持つことが、ひいては国民の健康寿命を延ばすことにつながります。少なくとも年に1回は歯科医院を受診していただきたい」と小山常務理事は強調する。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2022/11/24 05:00)
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