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学習障害(LD)は「読字(読む)」「書字(書く)」「算数(計算する)」の3分野の障害に分けられていたが、それぞれの障害を併せ持つ子も多く、2013年から限局性学習症(SLD)と一つの診断名に統一された。
白百合女子大学(東京都調布市)発達心理学科の宮本信也教授は「医療機関ではSLDの診断は行えても、その後の対応ができる所はわずかです。本来は、教育現場での判断と対応が望ましいと思っています」と話す。
読み書きや算数に問題がある限局性学習症
◇知能には問題ない
SLDは知能的な問題がないにもかかわらず、読み書きや算数が他の子に比べて時間がかかり苦労するという特徴がある。脳の機能の問題といわれ、読み書き障害と算数障害に分けられる。
読み書き障害は、年齢相応に読む流ちょう性と正しく書く正確性に困難が生じる。「進級とともに平仮名の読み書きはできるようになっても、漢字や片仮名の読み書きの困難さが続く場合がほとんどです」と宮本教授。
一方、算数障害は、計算や図形、応用問題などが解けないことで表面化するが、背景には、数量の比較や順番を捉えられない、簡単な暗算や概算ができないなど、いくつかの要因が考えられる。「一般的に算数が苦手な子は多いため、障害として気付かれにくく見過ごされがちです」
◇二つの診断方法
SLDの診断方法は、ディスクレパンシー・モデルとRTIモデルの二つがある。ディスクレパンシー・モデルとは、知能と学力面の隔たりを調べる方法で、知能検査と個別化した学力検査を行う。「知能に問題がなく、学力検査の結果が平均より1.5標準偏差以上低い場合に、通常はSLDと診断されます。しかし、知能に問題がないという判断は、正常範囲のIQ85以上を指すのか、知能障害がないIQ70以上を指すのかは、評価する人の判断により分かれます」
RTIモデルとは、子どもの学習の進み具合を見ながら、教育の場で指導や支援を行う方法で、早期に介入できるメリットがある。
「SLDの判断から支援まで、本来は教育の場で完結できるのが理想です。繰り返し勉強させればできるようになるものではなく、教え方に専門的な視点や工夫が必要です。そのため、家庭で勉強を見るという方法はうまくいかないことがほとんどです。まず学校や地域の教育センターに相談し、適切な評価や対応ができる所を探してみてください」と宮本教授はアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2022/12/10 05:00)
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