治療・予防

加齢に伴う目の衰え
~アイフレイル、早期発見を(京都大学医学部付属病院 辻川明孝教授)~

 目が疲れやすくなった、夕方になると物が見えにくい―などと感じることはないだろうか。加齢に伴うこうした症状は、放置すると「アイフレイル」になり視覚障害が起きる可能性があるため注意が必要だ。京都大学医学部付属病院眼科の辻川明孝教授は「早期に対処することで、健康寿命を延ばすことが可能です」と話す。

二つ以上該当する場合や気になる症状があれば眼科医に相談を

 ◇日常生活が制限

 フレイル(虚弱)は、加齢により心身が弱った状態で、要介護になる前段階を指す。同様に、眼も加齢に伴い血管がもろくなったり、ピントの調節力が弱くなったりして衰える。さらに、喫煙習慣、糖尿病高血圧などの病気が加わると、視機能が低下する「アイフレイル」になりやすい。

 アイフレイルになると、車の運転や読書、化粧や爪切りなどの動作に支障を及ぼし、日常生活が制限されてしまう。さらに、転倒や骨折をしやすくなったり、外出の機会が減って認知機能が低下したりするリスクも増加する。目の不調の背後に重大な疾患が潜んでいることもある。

 辻川教授によると、日本では高齢になってから視覚障害が生じる人が多く、原因となる疾患は緑内障が最も多いという。緑内障は視神経が障害を受け、視野が狭くなって失明につながる病気で、手術しても失われた視野は回復しない。辻川教授らが行ったアイフレイルに関するインターネット調査では、緑内障と診断された人の6割は自覚症状がなかったという。

 ◇40歳過ぎたら検診を

 辻川教授は「アイフレイルの段階で対策を取ることで、眼の機能を回復させたり、病気の進行を遅らせたり、症状を緩和させたりすることが期待できます。眼の衰えを加齢のせいにせず、早めに対処することが大切です」と強調。「40歳を過ぎたらアイフレイルの早期発見のために、積極的に眼科検診を受けたり、自己チェックしたりすることを勧めます」と助言している。

 日本眼科学会などで構成する日本眼科啓発会議はホームページ(https://www.eye―frail.jp/checklist/)で詳しい自己チェックの方法を公開している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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