治療・予防

後期高齢者にフレイル健診
~心身の衰え、早期対策(東京大学高齢社会総合研究機構 飯島勝矢教授)~

 75歳以上の後期高齢者を対象に、心身が衰える「フレイル」の早期発見を重視した「フレイル健診」が2020年度から導入されている。東京大学高齢社会総合研究機構(東京都文京区)の飯島勝矢教授は「健診では、栄養、運動、社会参加などに関する15項目について質問します。フレイルの兆候がないかチェックし、予防や早期のケアにつなげてほしい」と話す。

フレイル健診の質問票(一部抜粋)

フレイル健診の質問票(一部抜粋)

 ▽早めの対策で回復も

 フレイルとは、加齢に伴い心身の機能が低下し、健康と要介護の中間期にある状態。飯島教授らが、要介護認定を受けていない65歳以上の高齢者約5万人を調査した結果、フレイルと判定された割合は約12%。75歳以上では約4人に1人がフレイルに該当していた。

 「フレイルは要介護に移行する場合も多いのですが、早めに対策すれば回復する可能性は十分にあります」と飯島教授は説明する。

 後期高齢者の健診はこれまで、40~74歳を対象に、肥満などのメタボリック症候群の対策に主眼を置いて行う特定健診に準じた形で実施されてきた。「フレイル健診導入後も、持病の重症化予防などの疾病対策はこれまで通り重視します。新たな質問票には、高齢者の健康状態を総合的に把握し、地域の社会資源を幅広く活用して健康支援や相談を充実させていく狙いがあります」

 ▽複数の活動が活力に

 質問票は、フレイルに関連する10のカテゴリーで構成される。カテゴリーは〔1〕身体の健康状態〔2〕心の健康状態〔3〕食習慣〔4〕口腔(こうくう)機能〔5〕体重変化〔6〕運動・転倒〔7〕認知機能〔8〕喫煙〔9〕社会参加〔10〕ソーシャルサポート。質問は15項目の選択回答形式で、かかりつけ医や保健師などが問診する場合もある。

 飯島教授は「フレイル予防には、食習慣と口腔機能の『栄養』、『運動』、『社会参加』の3要素が重要です。社会参加は定期的に複数行うと相乗効果を生むという調査結果が出ています」と助言する。運動は難しくても、趣味の集いなどの文化活動と、ボランティアなどの地域活動を継続することが活力になり、フレイル予防につながる可能性があるという。

 質問票には、高齢者本人がフレイル予防の意識を高め、生活をより充実させるためにできることを考えてもらう目的もある。飯島教授は「日常生活で無理なく取り組め、少しだけ『健幸』になれる工夫が見つかると思います」と話している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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