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水虫、冬も油断禁物
~かゆみ治まっても治療・対策を~

 かゆみなどの症状を自覚したり、皮膚のただれや爪の変色・変形といった目立つ病状で気付いたりする水虫。皮膚表面にカビの一種である白癬(はくせん)菌が寄生して起きる皮膚病(白癬菌症)だけに、気温と湿度が下がる冬場は症状が緩和し、治癒したと誤解する人も少なくない。順天堂大学医学部付属病院(皮膚科)の木村有太子医師は「菌の活動が低下しているだけで、治ったわけではない。この時期こそ治療のチャンスだ」とアドバイスしている。

足の裏全体の皮がむけたように見える足水虫

 ◇大半は自覚症状なし

 足水虫(足白癬)の主な症状は①足の指と指の間が湿り、皮がむけたりじくじくしたりする。または足の裏の皮がむける(趾間型)②足の裏に小さな水疱ができたりする(小水疱型)③足の裏の角質が厚く、硬くなり、カサカサする(角化型)―などに大別される。そのうち、かゆみなどの自覚症状があるのはごく一部。放置すると、菌が爪に感染して爪水虫(爪白癬)に進み、治療しにくくなってしまう。

 「低温と乾燥が続く冬場はかゆみなどを感じにくくなり、治ったと勘違いする人も少なくない。しかし、菌そのものは皮膚に残っている」。木村医師はこう話し、注意を促す。皮膚の角化や脱落などの兆候があるだけでも、水虫を疑うべきだと強調している。

 診断自体は単純と言える。足の裏や指の間などの皮膚組織(角質)を採取し、皮膚科医が顕微鏡で白癬菌の有無を確認するだけで済む。「炎症など似た病態を示す病気も少なくない。顕微鏡による検査をせずに素人判断で市販の薬を使って治療するとうまくいかないこともある」と木村医師は忠告している。

 ◇完治に半年以上かかるケースも

 足水虫は皮膚表面に菌がいるので、クリーム状の外用抗真菌薬を塗るのが一般的だ。ただし、白癬菌は広範囲に及んでいることや真菌の生命力が強いことから、12週間以上にわたり左右の足全体に毎晩たっぷり塗り続ける必要がある。肝に銘じておこう。

  爪水虫の治療は一層難しいし、時間もかかる。爪の下の部分は塗り薬の効果が限られてしまうからだ。医師の診断・処方が必要な内服の抗真菌薬が第1選択薬であり、一定期間服用して白癬菌をたたき、その後も爪の変色した部分が生え替わるのを待たなければならない。「完治までは早くても半年かかるのが爪水虫。次の夏に備えて今のうちに治療を始めてほしい」と木村医師は話している。

 もう一つ、この季節だからこそ注意が必要なのがブーツだ。防寒やファッションで使用する人が増えるが、木村医師は「中は暖かく、湿度も一定以上。しかも、一晩でなかなか奥まで乾燥しない。それこそ白癬菌が増殖するには格好の環境になっている」と警鐘を鳴らす。対策として、同じブーツを2日以上はき続けたりせず、帰宅後は乾燥剤をブーツの底に入れるなどの手入れを忘れないよう呼び掛けている。(喜多壮太郎)

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