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競馬やパチンコなどのギャンブルにのめり込み、多額の借金を抱えたり、家庭や職場で問題を起こしたりするなど、日常および社会生活に支障が出るギャンブル依存症(ギャンブル障害)。精神疾患の一つとして治療が必要だが、一般にはまだまだ「病気」という捉え方はされておらず、本人や周囲の人も「性格」などのせいにする傾向がある。
「使い込んだお金を取り返そうとさらに借金を増やしたり、やめようとしてもなかなかやめられなかったりすることが特徴です。相談や治療につながるまでに10年以上に及ぶことも珍しくありません」と国立病院機構久里浜医療センター(神奈川県横須賀市)の松下幸生院長は説明する。
生活に支障が出るギャンブル依存症
◇精神療法で治療
ギャンブル依存症は、ギャンブル行動が抑制できなくなったり、ギャンブルに対する考え方に偏りが出たりするのが特徴だ。治療では、負けが続いていると勝ちが近いと思い込む、負けたときのことはあまり覚えていない、などの偏った考えを見直し、修正する「認知療法」、パチンコ店の前を通るのを避けたり、小銭やカードのみを持ち歩いたりするなどの「行動療法」といった精神療法が行われる。
その他、料理や課金しないゲーム、運動などギャンブルに代わる活動をして、楽しめる予定を立てることによりギャンブルから離れやすくなるという。
◇周囲の支えが重要
症状が見られるにもかかわらず、「自覚がない」「恥ずかしい」「プライドが許さない」「仕事が忙しい」などの理由で医療機関に相談する人は少ない。そのため、治療に至るまでには家族や周囲の人のサポートが重要だ。
「難しい面もありますが、家族や周囲の人は感情的にならず冷静に対応しましょう。決して、借金の肩代わりをしてはいけません。家族や周囲の人だけで問題を抱えてしまうのではなく、依存症の専門医療機関や精神保健福祉センターに相談したり、『ギャマノン』と呼ばれる家族や周囲のための自助グループなどに参加したりするとよいでしょう」と松下院長。
「本人を非難したりなじったりするのは逆効果です。『あなたがギャンブルをしなければ私はうれしい』など、ポジティブな言葉掛けをしてください」とアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2023/06/01 05:00)
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