治療・予防

悪化で治療長期化も
~ものもらい(大阪鶴見まつやま眼科 松山真弘院長)~

 まぶたの上下が腫れたり、痛みが出たりする「ものもらい」。めばちこ、めいぼ、おひめさんなど地域によってさまざまな呼び名がある身近な目の病気だ。

 自然に治ることも多いが、「そのうち良くなるだろうと放っておくと、症状が悪化し、治療が長引くケースがあるので注意が必要です」と、大阪鶴見まつやま眼科(大阪市)の松山真弘院長は話す。

ものもらい(麦粒腫)と霰粒腫の原因と症状

 ◇原因は細菌感染

 ものもらいは医学用語で麦粒腫(ばくりゅうしゅ)と呼ばれ、まぶたの縁や内側に細菌が感染して、目の赤みやまぶたの腫れ、かゆみなどが起こる。

 まつ毛の毛根などに感染する外麦粒腫(がいばくりゅうしゅ)、まぶたの縁にある分泌腺(マイボーム腺)に感染する内麦粒腫(ないばくりゅうしゅ)の2種類がある。

 汚れた手で目をこする、汚いタオルで目を拭くなど目の周りが不衛生な状態になることが主な原因だ。「まぶたが赤く腫れて痛みやかゆみなどの症状が出ます。誰でも発症する可能性がある身近な病気です」

 治療は、点眼や軟こうの抗菌薬を使用する。症状が重い場合は内服の抗菌薬を用いるケースがあり、通常は1~2週間程度で改善する。症状が悪化した場合は、切開してうみを出すことも。

 「ものもらいという言葉のイメージから、人にうつしてしまうのではないかと心配される方もいますが、目の周りが不衛生な状態になることで起こるため、他人にうつすことはありません」

 予防には、せっけんを使って手を洗い清潔なタオルで拭く、まつ毛の内側までのアイメークを控える、前髪がかからないようにする―などが効果的だ。

 ◇免疫力高める

 また、マイボーム腺の分泌物の詰まりが原因で、ものもらいと似た症状が出る場合がある。これは霰粒腫(さんりゅうしゅ)と呼ばれ、目に異物感や違和感を覚え、まぶたが腫れるのでものもらいと見分けがつきにくいが、細菌感染ではない点が大きな違いだ。「ホットタオルで目を温めたり、入浴により体全体を温めたりするとマイボーム腺の詰まりが予防できます」

 ものもらいも霰粒腫も、予防のために普段から免疫力を高めることが大切だ。十分な睡眠時間を確保し、栄養バランスの良い食事を取るなど、規則正しい生活を心掛けたい。

 「細菌が付いた手で目を触ってしまうとものもらいが再発する場合があるので、なるべく目を触らないようにしましょう。症状が見られたら、早めに眼科を受診することをお勧めします」と、松山院長はアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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