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感覚過敏とは視覚や嗅覚などの五感が、外からの刺激に対して過剰に反応する状態を指す。うつ病やパニック障害などの精神疾患でも見られる症状だが、特に発達障害との関連が指摘されている。
「発達障害に分類される自閉スペクトラム症(ASD)では、感覚過敏は診断基準にも含まれる症状で、90%以上のケースで伴うという報告もあります。また、注意欠如多動症(ADHD)にも多い印象があります」と、昭和大学発達障害医療研究所(東京都世田谷区)の太田晴久所長は話す。
感覚過敏のうち最も多いとされる聴覚過敏
◇最も多い聴覚過敏
感覚過敏には▽音に敏感に反応する聴覚過敏▽光を異常にまぶしく感じるなどの視覚過敏▽衣類の肌触りや人に触れられることに敏感な触覚過敏▽匂いに過剰反応する嗅覚過敏▽食感や味付けに苦手意識を持つ味覚過敏―がある。「いずれか一つの症状を呈するケース、複数の感覚が過剰に反応するケース、さらに過敏症状とは逆の感覚鈍麻が併存するケースも少なくありません」
訴えが最も多いのは聴覚過敏だ。苦痛を感じる音の対象は、冷蔵庫の「ブーン」という小さな運転音、打ち上げ花火の大きな爆発音、ざわざわした話し声など、人によってさまざま。「例えば、職場で電話機やコピー機の近くに座ると集中できず、仕事が続けられなくなる人もいます」
苦痛は感じていても、感覚過敏を理由に受診するケースは比較的少なく、ASDの主症状である対人コミュニケーションやこだわり行動などの問題をきっかけに受診し、問診で感覚過敏が判明するケースが多いという。
◇刺激を遮断
感覚過敏の原因の一つは脳機能の障害と考えられているが、全容解明には至っていない。治療法は、気分の落ち込みなど付随する精神症状に対する薬物治療があるものの、過敏症状そのものを軽減する薬は無い。少しでも生活しやすくするための対処法を用いて、症状と付き合っていくことが大切だ。
例えば、聴覚過敏の場合には耳栓を利用したり、光がまぶしい場合は色付きの眼鏡をかけたりして刺激を遮断する。「騒々しい場所やまぶしい場所を避けることももちろん必要ですが、耳栓や眼鏡で刺激をブロックすれば、苦手な場所へも行くことができます」
また、症状をプラスの方向に生かす特殊な例もある。聴覚の敏感さと関連する絶対音感を生かして音楽の才能を発揮するなど、芸術分野で花開くケースだ。
日常的に気を付けた方がよいのはストレスだという。「ストレスを抱えて精神的に不安定な場合は、感覚過敏が強く出ることが多いため、主治医とも相談してストレス軽減に努めましょう」と、太田所長はアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2023/09/30 05:00)
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