治療・予防

耳かきの基礎知識
~し過ぎは禁物(にしおぎ耳鼻咽喉科クリニック 金丸朝子院長)~

 耳かきを定期的に行わないとすっきりしないと感じる人も多いだろう。一方で「耳かきはあえて行う必要はない」との専門家からの見解も聞かれる。そもそも耳かきはした方がいいのか? 正しい方法は? にしおぎ耳鼻咽喉科クリニック(東京都杉並区)の金丸朝子院長に聞いた。

耳垢が外耳道をふさいでしまった症例

耳垢が外耳道をふさいでしまった症例

 ◇耳あかは自然に出る

 耳あかは、専門用語で耳垢(じこう)と呼ぶ。耳の入り口から鼓膜までの空洞部(外耳道)や鼓膜からはがれた皮膚細胞に、耳垢腺からの分泌物や耳の毛などが混じった物だ。分泌物が多いとべたべたした湿性に、少ないとかさかさした乾性の耳垢になる。日本人は遺伝的に乾性の人が7~8割を占める。

 耳には本来、自浄作用が備わっている。「外耳道の表面にある細かい毛(腺毛=せんもう)の働きによって、耳垢は自然に耳の外へ排出されるため、原則として外側に出てきた耳垢を拭き取る程度で十分なのです」

 むしろ、耳かきのし過ぎは逆効果になることが多いという。「綿棒に色が付くからと頻繁に耳かきをする人がいますが、良くありません。綿棒を耳の奥まで入れると、かえって耳垢を押し込んでしまいます。また、外耳道を傷つけて外耳炎が起こると、余計に皮膚がむけたり、耳から出た分泌物が乾いて固まったりして、耳垢がたまりやすくなります」

 ◇耳が詰まる原因にも

 たまった耳垢が完全に外耳道をふさぎ、音が聞こえづらくなることがある。「急に耳が聞こえなくなったと受診した患者さんの耳を見ると、耳垢が詰まっており、除去することで聞こえるようになるケースはしばしばあります」と金丸院長。ただし、急に聞こえなくなった原因が突発性難聴であれば、早期に治療しないと聴力は回復しにくくなる。いずれにしても、すぐに耳鼻科を受診してほしい。

 外耳道が狭かったり、曲がりくねっていたりして耳垢がたまりやすい人もいる。「できれば、誰かにライトなどで照らしながら耳の中をのぞいてもらい、耳垢がたまっているのが確認できたら、耳かきするのがいいでしょう。その際、あまり奥まで耳かきを入れないように注意を。耳の穴から1センチくらいまでを目安にしましょう。耳かきは使い捨てを使うのが衛生的でお勧めです」と金丸院長はアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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