治療・予防

自転車が勃起不全リスクに?
~専門医がポイントを解説(プライベートケアクリニック東京・東京院 小堀善友院長)~

 サイクリングを楽しむ人は多いが、自転車の乗車による勃起不全(ED)のリスクが指摘されている。男性の不妊治療などに詳しい、プライベートケアクリニック東京・東京院(東京都中央区)の小堀善友院長に、男性機能への影響を考慮したサイクリングの楽しみ方について聞いた。

ポイントは五つ

 ◇サドルが会陰部を圧迫

 性的な興奮や刺激を脳が感知すると、その信号が脊髄を通って陰茎に伝わり、血管を広げる物質が産生される。それがスイッチとなって、血液が陰茎の海綿体に一気に流れ込み、勃起が起きる。

 EDは、精神的なストレスや身体的なダメージなどさまざまな要因で発症する。治療は、血管を拡張させて陰茎に流入する血流量を増やすバイアグラ(シルデナフィル)やレビトラ(バルデナフィル)などPDE5阻害剤と呼ばれる内服薬が一般的だ。

 小堀院長は「サイクリングとEDの関係については海外でも以前から研究が行われており、サイクリングによってEDの発症を誘発する可能性を示唆する報告はあります」と指摘する。

 自転車に乗ると会陰部がサドルに圧迫され、乗車時間が長くなると陰茎動脈の血流障害や陰部神経の神経障害が起こりやすくなるという。特にランドナーやロードレーサーと呼ばれるスポーツタイプの自転車の場合、サドル幅が狭く、材質が硬いことに加えて、前傾姿勢になるために会陰部への圧迫が強まり、EDのリスクが高まると考えられている。

 ◇五つのポイント

 「通勤や買い物などで短時間乗る程度であれば、気にする必要はありません。適度に自転車に乗ることはむしろ運動不足解消にもなり、EDのリスクが減る可能性もあります。ただし、不妊治療中に自転車を使って運動する場合は、スポーツタイプは避けた方がいいでしょう」

 EDのリスクを気にせずにサイクリングを楽しむためのポイントは〔1〕自転車に乗る時間は週に3時間以内を目安とする〔2〕クッション性に優れた幅の広いサドルを選ぶ〔3〕股パッド入りのウエアを着用する〔4〕会陰部に負担がかからないようにサドル、ハンドル、ペダルの位置を調整する〔5〕走行中に時々サドルから尻を浮かせてサドルの圧迫を緩和する―の五つだという。

 「因果関係が明確になっているわけではありませんが、自転車によるEDが気になる場合は、泌尿器科にご相談を」と小堀院長はアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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