治療・予防

普段の排尿、意識し備え
~災害時のトイレ問題(小牧市民病院 吉川羊子部長)~

 台風、豪雨、地震など災害時の問題の一つはトイレだ。自宅のものが使えなくなったり、避難所で衛生面に不安を感じたりして排尿回数を減らそうと水分摂取を控えると、脱水症などの問題が起きかねない。小牧市民病院(愛知県小牧市)泌尿器科・排尿ケアセンターの吉川羊子部長に対策を聞いた。

災害時のトイレ問題

 ◇衛生面など課題

 災害時のトイレを巡っては、避難所になっている施設の和式便器を使い慣れないことや、衛生管理の問題、故障などの事態が想定される。

 ただし、トイレに行く回数を減らすため水分を控えるのは避けたい。脱水症や、夏季は熱中症のリスクになるからだ。

 「避難所に使われる施設は一般的に、長期間の生活を目的とした場所ではないので、限界があります。ですから一人ひとりが、非常時の食料や水とともにトイレのことを考えておきたいもの。携帯トイレや簡易トイレを実際に使ってみることをお勧めします」

 ◇自分に適した対策を

 どのようなトイレが使いやすいかは、個人差がある。普段からトイレが近い人、移動するのが難しい人もいる。1度や2度の尿意は我慢しても問題ない人もいれば、我慢し過ぎて尿が出にくくなる人もいる。

 「もともとぼうこうの働きが低下して尿をすっきり出しにくい人が、排尿を我慢していると、さらに働かなくなる可能性があります。一時的ですが、尿を出せなくなることもあります」

 災害時に備えるためには、普段の排尿を意識しておくことが重要になる。例えば、1日の回数、1回の量、尿の勢い、排尿前後の不快な症状の有無などだ。

 自分の排尿について気になることがあれば、地域の泌尿器科や、かかりつけ医に相談したい。公的機関や衛生用品メーカー、製薬企業などが運営する、排尿に関する相談窓口や情報サイトを活用するのもよい。

 吉川部長は「自分の排尿の問題に気付いていない人、気付いても相談する機会がない人がいると思います。簡易トイレのようなハード面に加え、自分の体に関することで行える対策を探してみましょう」と助言している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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