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子どもの低身長、気になるなら病院へ
~重要な早期発見・治療~

 子育て中に「うちの子、身長が低めかな」と考えたことがある人は少なくなさそう。治療が必要なのか、遺伝的なものなのか。背後に疾患が隠れている可能性もある。専門医は「疾患の場合は早期に発見し、治療を開始することが望ましい。気になったら受診してほしい」と呼び掛ける。

大久保由美子医師提供

 ◇客観的に判定

 「身長が低めなのかを客観的に知る材料がある」と話すのは、マイクリニック大久保(静岡市)の副院長で小児科が専門の大久保由美子医師だ。判定に使われるのは、年齢ごとの平均身長の推移を表す「成長曲線」と、平均からどの程度隔たっているかを示す「標準偏差」(SD)。隔たりが低い方だとマイナス(-)、高い方はプラス(+)と評価し、-2SD以下が「低身長」と定義されている。

 -2SDを分かりやすく言うと、背の低い順に100人が並んだときに前から2番目か3番目ということになり、同年齢・同性の子に比べ背が低いと判断できる。学童期の身長の伸びが1年間で4~5センチ以下の場合も、要治療の基準に該当。これらの結果が出た子どもには、日本学校保健会が作成した9群のカテゴリーとも見比べられ、受診券が発行されることになっている。

 ◇分かりやすい受診基準を

 全国保険医団体連合会が、学校健診の結果を受けて専門機関を受診した割合を2020年に調べた結果、内科では要受診と判定された子どもの半数が未受診だった。「理解不足」などが主な理由だという。また、養護教員をはじめ学校現場から「身長、体重といった健診データを手入力するため手間がかかる」「具体的な対処方針が示されておらず混乱する」などの意見が出ていた。

 これを受け、大久保医師が所属する静岡市静岡医師会では、独自のスクリーニングシステムを提案。9カテゴリーそれぞれに具体的な対応を明記した。分かりやすく、短時間で判断できる基準にしたため、「抽出が厳選され、受診は増えたと感じている」(大久保医師)と、一定の成果があった。

 ただ、学校側がデータを手入力する方法に変わりはなく、課題が残る。「成長曲線を自動で描いてくれるソフト開発などで、解決できる可能性はある。引き続き取り組みを進めたい」と言葉を強めた。

大久保由美子医師提供

 ◇メッシ選手は克服

 低身長の子どもには、どのような疾患が考えられるのか。一つは「成長ホルモン分泌不全性低身長症」(GHD)。脳の下垂体から分泌される成長ホルモンの量が少なくなり、骨の成長が進まないために起こる。

大久保由美子医師提供

 サッカーのアルゼンチン代表リオネル・メッシが、同疾患で治療したことを公表している。11歳で診断され、13歳で140センチ弱だったが、4年後には170センチほどに伸び、弱冠17歳で公式戦プロデビュー。その後、世界トップクラスのプレーヤーに上り詰めた。

 ただ、治療にかかる費用が高額な上、診断を確定するための「成長ホルモン分泌刺激試験」をクリアすることが難しいのが現状だ。-2.5SD以下の低身長だと小児慢性特定疾患として補助金を受けられるが、「分泌不全の結果が得られにくい。こうしたことから希少疾患に指定されているという面もある。治療を受けたくても、この試験をクリアできずに受けられないこともある」と、大久保医師は表情を曇らせる。別の疾患の可能性なども考えられるため、「まずは小児科で相談してほしい」と話した。

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