話題

子どもの低身長、気になるなら病院へ
~重要な早期発見・治療~

 ◇伸び率鈍化にも注意

 もう一つ注意したいのが、成長率の鈍化だ。以前は平均的な身長だったが、次第に身長の伸び率が悪くなるというケースで、原因として他のホルモン異常や染色体の異常、脳腫瘍などが考えられる。

 ただ「思春期遅発症」「思春期早発症」といった、家系的に思春期に入る時期が遅かったり早かったりといった場合もある。

 さまざまな検査により低身長の原因を突き止め、初めて適切な治療に進むことができる。大久保医師は「そのほか、母親のおなかの中にいる期間に応じた標準の身長・体重に比べ小さく生まれた子が、そのまま成長が追いつかない『SGA性低身長症』という疾患もある。あらゆる可能性を考えながら見極めている」と語る。

「たかが身長、されど身長。低身長が子どもに及ぼす影響は心身共に大きい」と大久保医師

「たかが身長、されど身長。低身長が子どもに及ぼす影響は心身共に大きい」と大久保医師

 ◇手遅れにならないように

 2番目の子どもがGHDと診断された女性は、低身長に関する講演会で「治療を受けられて本当によかった」と振り返る。集団の中で頭一つ以上小さかったが、次第に目線が合うまでに伸び「自信につながったように見えた」と、顔をほころばせた。

 骨を伸ばして身長を伸ばすため、毎日、成長ホルモン剤の皮下注射を自宅で行った。子どもが6歳の時から8年以上続け、大変だったが、「治療のタイミングがある病気なので、少しでも気になったら治療に行ってほしい」と呼び掛けた。大久保医師は「高校生になってからでは治療はすでにできない。悔やむ保護者の姿を見ると、なぜもっと早く来てくれなかったのかと思う」とやりきれなさをにじませる。

 学校健診を活用したスクリーニングは実施しているが、未就学児に対しては機会が少ないという。大久保医師は「成長ホルモン療法は3歳から始められる。3歳児健診などでのスクリーニングができるようにしたいが、まだ整備されていないのが実情。早期治療に持ち込むには、早期診断が重要になってくる。これからも啓発していきたい」と言葉を強めた。(柴崎裕加)

  • 1
  • 2

【関連記事】


新着トピックス