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体や心の状態に加え、高齢者の介護予防で注目されているのが社会参加の重要性だ。千葉大学予防医学センター(千葉市)の近藤克則教授(老年学)に話を聞いた。
人との交流を
◇コロナ下で増えた健康リスク
趣味やスポーツの集まりへの参加、友人・知人との交流などが多い高齢者ほど、うつや認知症、要支援・要介護のリスクが軽減することが知られている。
近藤教授らがこれらのリスクと新型コロナウイルス下での社会活動との関係を調べた結果、活動が減少した人は減らなかった人と比べ、リスクが高いことが分かった。例えば、自宅外で行う趣味の活動が減った人は、うつリスクが高くなり、スポーツへの参加機会が減った人は、要支援・要介護リスクやうつリスクが高かった。
近藤教授が代表理事を務める日本老年学的評価研究機構によると、コロナ前に24自治体の後期高齢者約3万人を対象にした追跡調査では、社会参加の回数が少ないほど認知症を発症する割合が高いことが分かった。
今もコロナ感染を心配する高齢者は多いが、「感染予防をしつつ、趣味やスポーツなどの活動を再開し、交流の場を増やし社会とつながることが、うつや認知症の予防になります」
◇「高齢者サロン」の取り組み
「介護が必要な高齢者を増やさないためにも、孤立化を防ぐことが大切です」と近藤教授。
孤立化予防として取り組まれているのが「通いの場(高齢者サロン)」である。全国社会福祉協議会や自治体が中心となり、住民が主体的に行う茶話会や趣味の会などを運営し、気軽に立ち寄れる場所として仲間づくりに寄与している。
近年は企業と連携した実証実験も行われている。例えば▽電動カートを地域住民が運行して高齢者の外出を促す▽ごみ分別ステーションを高齢者も含めた交流の場とし、廃油や小型家電などを回収したり、気軽に立ち寄れる休憩スペースをつくったりする―などだ。
「今後は産官学が協力して、高齢者が社会参加できる場を全国に広げることが介護予防の鍵になると思います」と近藤教授は話している(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2024/01/01 05:00)
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