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乳がんにかかる女性は増え続け、国立がん研究センターがん情報サービスによると、2019年には約9万7000人、9人に1人となっている。早期に発見し治療すれば生存率の高いがんであるにもかかわらず、死亡率は下がっていない。
「早期発見のためには、『ブレスト・アウェアネス』の会得が極めて重要です」と、静岡県立静岡がんセンター(同県長泉町)乳腺画像診断科の植松孝悦部長は話す。
気を付けるべき乳房の変化
◇普段から乳房を意識
ブレスト・アウェアネスとは、乳房を意識した生活習慣を指す。〔1〕自分の乳房の状態を知る〔2〕乳房の変化に気を付ける〔3〕変化に気付いたらすぐ医師に相談する〔4〕40歳になったら2年に1回乳がん検診を受ける―の四つのポイントから成る。
「検診だけで乳がんを100%発見できるわけではありません」。普段から乳房への関心を高めておくことが重要だ。
「自己触診でしこりを発見するのは難しく、続けられない人が多いです。それよりも、入浴時や着替えるときなど、普段から自分の乳房を少し意識して変化がないかどうか継続して気を付ける、毎日のブレストチェックの習慣化が大切です」
◇定期的な検診を
乳がん検診を受けるには、自治体が40歳以上の女性を対象に2年に1回行うマンモグラフィー(乳房X線)検診の他に、職場の健康診断のオプションや自費で受ける人間ドックなどがある。
身内に乳がん経験者がいる人は特に要注意で、必ず定期的に検診を受けることが重要だ。「そのような女性の中には若い頃から早めに検診を受ける方がよい人もいるので、乳腺の専門医に相談しましょう」
日本人では乳がんの5~10%は遺伝性と言われ、母や姉妹、娘に乳がんにかかった人がいる場合はリスクが高いと分かっている。また、乳汁を出す組織である乳腺の割合が多い高濃度乳房は、マンモグラフィーを撮影すると全体的に白っぽく見えるが、がんも白く映るため見つかりにくい例がある。このため、超音波(エコー)検査やMRI検査など、他の検査を組み合わせて行った方がよい場合もあるという。
「日本の乳がん検診受診率は低いです。しこりを自覚してもすぐではなく、大きくなって転移してから初めて受診する人がまだまだ多いのは、とても残念です。乳がんは比較的、生存率の高いがんと言われますが、早期発見、早期治療が前提となるので、ご自身の乳房への関心を高め、定期的に検診を受けましょう」と植松部長は強調する。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2024/01/17 05:00)
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