治療・予防 2024/12/24 05:00
進行を予測する指標発見
~間質性肺炎の早期治療で(大阪大学大学院 榎本貴俊医師ら)~
高齢者の認知機能や身体機能の衰えは、将来的な要介護リスクにつながる。衰えの予防や改善を目的に行うリハビリテーションに買い物を取り入れた試みが、効果を示したという。
研究グループの一人、雲南市立病院(島根県雲南市)地域ケア科の毛利直人医員は「買い物リハビリ開始前に比べて、要介護リスク者の割合が減少しました」と話している。
買い物リハビリ
◇買い物と体操
2020年に行われた雲南市立病院と島根大学の共同研究には、同市在住の高齢者72人が参加。そのうち59人(93%が女性、平均年齢86歳)が6カ月にわたる月平均4回の「買い物リハビリ」を終了した。
「高齢者9~12人に作業療法士2人が付き添い、ショッピングセンターで30分の買い物の後、イベントスペースで60分の体操を行い、再び30分の買い物を楽しんでもらいました」。買い物・体操は、買い物リハビリを事業展開する光プロジェクト株式会社(雲南市)の施設で行われた。
認知・身体機能の改善・低下予防にリハビリが効果的なことは証明されているが、リハビリを開始するまでの動機付けが課題だ。
「そこで『ナッジ』という、行動変容を促すためにわずかに後押しする行為として買い物をリハビリに取り入れ、自宅とショッピングモール間をシャトルバスで送迎しました」
リハビリ開始前と6カ月後に、健康状態や生活習慣を確認する厚生労働省の基本チェックリストに基づき認知・身体機能の変化を比較した。
◇孤独感解消にも期待
基本チェックリストは、「バスや電車で一人で外出するか」「日用品の買い物をするか」などの日常生活の他、「階段を手すりや壁を伝わずに上れるか」「椅子に座った状態から何もつかまらずに立ち上がるか」といった身体機能、「自分で電話番号を調べて電話をかけられるか」「今日が何月何日か分からない時があるか」といった認知機能に関する質問などの25項目で構成される。「はい」か「いいえ」で回答し、回答によって点数が加算され、「8点以上なら将来的な要介護リスクが高いとされています」。
共同研究では体重・身長に関する質問を除いた24項目で評価したところ、参加者のうち8点以上の割合が開始前の39%から6カ月後には27%まで減少した。
「さらに研究を進め、長期的な買い物リハビリの効果や、認知・身体機能だけでなく孤独感の解消などについても効果を検証したい」と毛利医員は期待を寄せている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2024/06/24 05:00)
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