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近年、発達障害の可能性を指摘される子どもが増え、全国の小中学校で8.8%、11人に1人程度とされる(2022年文部科学省調査)。その実態について、新百合ケ丘総合病院(川崎市)発達神経学センターの高橋孝雄センター長に聞いた。
子どもの発達障害
◇過剰な心配も
同センターには多くの親子が受診に訪れるが、「発達障害という言葉が曖昧なまま知れ渡り、親や教師が過剰に心配している様子がうかがえます」と高橋センター長。
発達過程にある子どもの中には、周囲の状況に構わず行動する、無口で孤独を好む、などの特性を持った子どもが一定数いる。「最近は『平均的な子』の水準が上がり、それを満たさないと『発達に問題があるのでは』と心配する傾向があります。不安を感じたら自己判断せず、小児科医に相談してほしい」
◇最近は「神経発達症」
発達障害という疾患名は、米国精神医学会の「精神疾患・精神障害の分類マニュアル」にある英語名「disorder」を「障害」と訳していたことに起因するが、この表現に抵抗感を覚える人も多く、最近では「神経発達症」と呼ぶようになっている。
神経発達症には、「自閉スペクトラム症(ASD)」「注意欠如・多動症(ADHD)」「学習症(LD)」などが含まれる。ASDの特徴として「人の顔色を読めない」「相手の感情に無関心」などがあるが、これらを障害ではなく「個性」として受け入れる。
ADHDは「落ち着きがなく、衝動的に行動する」「うっかりミスや忘れ物が多く困っている」という生活上の困難をもたらすが、いずれも障害というより個性とみる。LDは読み書きや計算が苦手な特性がある。練習により確実に上達するし、音声読み上げやキーボード入力などを活用すれば社会生活での困難さも軽減される。
「親の中には『自分の子育てのせい』と責任を感じる人もいますが、神経発達症は生まれ持った素質のようなもの。神経発達症と診断されたら、自己肯定感の低下による不登校やうつなどの二次障害にも注意してください。そのために医療機関や福祉・教育関係の支援制度があるのです」と高橋センター長は助言する。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2024/09/20 05:00)
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