Dr.純子のメディカルサロン

湿気・寒暖差・経済ストレス
~6月の「隠れ不調」から自分を守る方法~

 今年は寒い日が続いた後に急に暑くなったり、寒さがぶり返したりして体調をキープするのに苦労する6月です。この時期は例年、湿度の変化や気圧の変化で自律神経の乱れが重なることで、心と体にじわじわとダメージを与える「隠れ不調」が増える時期とも言えます。何となくだるくておっくうという方もいらっしゃるのでは。

 さらに今年は、コメをはじめとする物価上昇や賃金格差の拡大、海外の政情不安など、経済面でもストレス要因が増えており、知らず知らずのうちに心が疲れてしまいやすい状況です。

 そんな6月を元気に乗り切るために、きょうからできる三つのケアをご紹介します。

(文 海原純子)

 1.自律神経の疲れに「足浴」と「耳マッサージ」

 外の気温が高い一方で、電車内やオフィスの冷房はひんやりと感じる季節。こうした急激な温度変化に対応するため、自律神経はフル稼働状態になり、知らぬ間に疲れをためてしまいます。

 その結果、不眠やめまい、集中力の低下、胃腸の不調といったさまざまな症状が出やすくなります。

 暑くなってくるとシャワーだけで済ませる方も多いと思いますが、そんなとき、おすすめしたいのが足浴です。膝元までをぬるめのお湯に8〜10分ほどつけることで、全身の血行が促され、リラックス効果が得られます。専用の足浴バケツなどを使うと手軽に取り入れられますし、足元を温めることで眠りにも入りやすくなります。

気象の変化には耳マッサージがおすすめ

気象の変化には耳マッサージがおすすめ

 また、気象の変化に敏感な方には「くるくる耳マッサージ」もおすすめです。中部大学の佐藤純教授が提案しているこの方法は、耳の血流を促すことで内耳のリンパ液の流れを良くし、めまい頭痛、耳鳴りなどの「気象病」の症状を和らげることが期待できます。

 やり方は簡単です。

 • 耳を軽くつまみ、上下・左右それぞれに5秒間引っ張る

 • 耳を横に引っ張りながら後ろに5回ゆっくり回す

 • 耳を包むように折りたたんで5秒キープ

 • 手のひらで耳全体を覆い、後方に円を描くようにゆっくり5回回す

 このマッサージは、リラックスタイムや入浴後に取り入れてみてください。


飲酒の機会が増えるこの季節は意識的にマグネシウムを補う必要がある

飲酒の機会が増えるこの季節は意識的にマグネシウムを補う必要がある

 2.ミネラル不足と“だるさ”の関係――マグネシウムを意識した食事

 暑くなると汗をかく機会が増えますが、汗とともに失われるミネラルの中でも、特に「マグネシウム」は、心と体の健康にとってとても重要です。

 マグネシウムは600種類以上の酵素を助け、エネルギー産生や神経伝達、筋肉の働き、そして「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンの合成にも関わっています。

 不足すると、ATP(アデノシン三リン酸)という体内エネルギーの生成が滞り、疲れやすさや集中力の低下、気分の落ち込みなどにつながる可能性があります。

 さらに、夏の定番である冷たいビールにも注意が必要です。アルコールはマグネシウムの尿中排出を促進してしまうため、飲酒の機会が増えるこの季節は、意識的にマグネシウムを補う必要があります。

 おすすめの食材は、以下です。

 • 海水から作られた自然塩

 • 枝豆(塩ゆでにするとビールのおつまみにも最適)

 • 大豆製品(豆腐・納豆)

 • 海藻類(わかめ・ひじきなど)

 • ナッツ類(アーモンドやカシューナッツ)

 夏のおつまみも、体に優しいものを選ぶことで、元気な毎日につながります。

 3.環境の変化後の “適応反応症“を見逃さない

 人事異動などで部署や働き方が変化したり、入社や入学など新しい環境の中で2カ月が過ぎたりした頃から起こる「適応反応症」のリスクが高くなる時期が6月です。不眠や胃腸障害、気分低下などの症状が気になるときは医師に相談し、2週間以上症状が続くときは受診をおすすめします。

 環境の問題点、例えば、人間関係や業務負担、適性、また自分自身の頑張り過ぎなどストレス要因を調べて改善することが必要です。梅雨の時期は太陽の光を浴びたり、散歩など身体を動かしたりする機会も減少するので気分低下が起こりやすいと言えます。晴れた日には熱中症に気を付けながら太陽の光を浴びて身体を動かすことが予防になります。(了)


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