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バルトネラ・ヘンセレ菌(以下、バルトネラ菌)という細菌に感染した動物と接触することで発症するバルトネラ・ヘンセレ感染症。主な感染源は猫で、「猫引っかき病」という俗称でも知られる。
「猫を飼っている方は、感染経路や予防法を正しく知ることが大切です」とグローバルヘルスケアクリニック(東京都千代田区)の水野泰孝院長は指摘する。
動物と接触したら手洗いを
◇リンパ節が腫れる
バルトネラ菌に感染した猫などに引っかかれたり、かまれたりした後、傷口から細菌が体内に侵入して人に感染する。3~10日以内に傷口が腫れ、2週間以内にリンパ節の腫れや発熱、頭痛などの症状が表れる。リンパ節が腫れると圧迫されるような強い痛みを伴う例もある。
「軽症であれば自然治癒することが多いですが、リンパ節が大きく腫れる、発熱、頭痛などの症状が続くときは医療機関を受診しましょう」
大人は内科、子どもは小児科の受診が基本だ。症状が強ければ抗菌薬で治療する。「受診の際は動物との接触歴を必ず医師に伝えてください」。猫引っかき病の特定は初見では難しく、患者からの申告が、正しい診断とスムーズな治療につながるという。
ごくまれに、急性脳症や髄膜炎、心内膜炎などの合併症を引き起こすケースがある。治療せず、死亡した例も報告されている。「腎不全やエイズ(後天性免疫不全症候群)など免疫機能が低下する持病がある方や、抗がん剤治療や透析治療を受けている方は症状が悪化しやすいため、早めの治療と予防が肝心です」
◇手洗いで感染予防
飼育猫では7~十数%がバルトネラ菌を保有していると言われている。ノミを介して猫から猫、犬へも感染し、この菌を保有したノミに刺されて人へ感染する例もある。猫同士の感染やノミの拡散を予防するため「飼い猫はなるべく家の外に出さないようにし、人や猫への感染機会を減らす工夫を」することが重要だ。
野良猫を不用意に触らない、猫に傷をなめさせない、爪は定期的に切る、ノミの定期的な駆除、などの対策も心掛けるとよい。動物と接触した後はこまめに手を洗い、排せつ物を処理するには手袋とマスクの着用を徹底したい。
だが、猫と暮らしていれば感染リスクをゼロにするのは難しい。「猫にかまれたり引っかかれたりしても慌てず、すぐに傷口を洗って消毒するなどの応急処置をしてください。他の感染症と同様に過剰に心配せず、正確な知識を持って『正しく恐れる』点が大切です」と水野院長は助言する。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2024/09/24 05:00)
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