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2014年10月、世界初の「移植された子宮での妊娠、出産」がスウェーデンで成功した。日本でも09年に「子宮移植プロジェクトチーム」が発足し、研究が進められている。同チームメンバーで、慶応大学医学部(東京都新宿区)産婦人科学教室の木須伊織特任助教に子宮移植の現状について聞いた。
◇目的は妊娠、出産
「子宮は命に関わる臓器ではないので、ひどい拒絶反応が起きたら速やかに摘出します。移植の目的はあくまで妊娠、出産することなので、出産後は摘出してしまいます」
スウェーデンでは、15年に及ぶ基礎研究を経て、計9例の子宮移植が行われている。うち2例は子宮内感染と血管内血栓を繰り返し、子宮が摘出されたが、7例は妊娠に成功。うち5例は出産済みで、17年2月時点で2例は妊娠継続中だ。
◇母から娘への移植
子宮移植のレシピエントは子宮性不妊症の女性。生まれつき子宮や膣(ちつ)を持たない「ロキタンスキー症候群」などの先天性の場合と、がんなどで子宮を摘出したり、子宮が癒着して妊娠する能力を失ったりする後天性の場合がある。
「ロキタンスキー症候群の娘に、その母親がドナーになる状況が一番考えられやすい。われわれの研究でも、母子間での子宮移植を念頭に置いています」と木須特任助教。
スウェーデンで子宮移植を受けたレシピエントの平均年齢は31.5歳、ドナーは53歳というが、閉経後の子宮でも問題ないのだろうか。
「妊娠した7例中、半分以上のドナーは閉経後で、最高齢は62歳。閉経前である方が望ましいですが、閉経して5年以上経過した子宮でも、妊娠、出産に至っています」
子宮移植のリスクの一つは早産だが、「スウェーデンの5例は、いずれも34週前後での出産。やや早産ですが、現代医療では多くの場合は大事に至らない週数です」。
日本での実施にはまだ課題も多いが、早ければ3年後に実現の可能性があるという。「日本では公的に認められていない代理母と違い、子宮移植は自分で出産します。母性も育まれますし、新たな選択肢によって救われる人が1人でも増えれば」と、木須特任助教は期待している。(メディカルトリビューン=時事)
(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2017/11/06 16:03)
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