早産〔そうざん〕 家庭の医学

 妊娠22週以降37週未満で分娩することを指します。週数が早ければ早いほど、児の未熟性が強く生育がむずかしくなります。生下時体重が1500g未満を極低出生体重児、1000g未満を超低体重出生児と呼びます。NICU(新生児集中治療室)がある施設では1000gあっても生育は困難ではありませんが、発育・成長していく過程でさまざまな困難があります。胎児にとっては子宮内がもっとも成長に適した場所であるのです。
 早産になりかかっている状態を「切迫(せっぱく)早産」といいます。規則的なおなかのはりと出血がその症状ですから、早く診察を受けましょう。入院安静が第一で、子宮収縮抑制薬や抗菌薬を使って治療します。破水が起こっていなければかなり効果が期待できます。破水している場合は、陣痛を抑えられないことが多く、また短時日で羊水(ようすい)中に病原菌が増殖する可能性も高くなるので、出産後NICUで適切な治療を受けたほうがよい場合もあるのです。
 原因の一つは子宮内の病原菌による炎症ではないかと最近いわれていますが、それだけではありません。母体の疾患(頸〈けい〉管無力症、子宮筋腫妊娠高血圧症候群糖尿病、心臓病)などが原因となることもあります。特に病気がなくても母体の過労、冷え、旅行、セックスがきっかけとなる可能性もあるので注意しましょう。

(執筆・監修:恩賜財団 母子愛育会総合母子保健センター 愛育病院 産婦人科 部長 竹田 善治)
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