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女性が妊娠すると、ホルモンバランスの変化で皮膚にさまざまなトラブルが起きやすい。色素沈着や肝斑、線状皮膚萎縮症(妊娠線)といった生理的な変化のほか、妊娠時だけ起こる皮膚疾患も多い。さぎのみや皮膚科クリニック(東京都中野区)の松田芳和院長は、「妊娠時はかゆみを伴う皮膚疾患にかかりやすいので注意が必要です」と話す。
◇妊娠のたび再発も
妊娠後期に起こりやすい妊娠性掻痒症は、全身に激しいかゆみを感じるものの、発疹は見られない。妊娠中に胆汁の流れが悪くなることが原因とされ、女性ホルモンのエストロゲンが関与していると言われている。
妊娠性類天疱瘡は自己免疫疾患の一種で、胴や手足を中心にかゆみを伴いながら、多くの紅斑や水ぶくれができる。まれな病気だが、主に妊娠中期から後期、産後すぐの頃に起きる。多くは出産後1カ月以内に改善するが、悪化や再発を繰り返すこともある。
妊婦が最も悩まされるのが妊娠性痒疹とPUPPPだろう。妊娠性痒疹は、妊娠初期の12~15週ごろに、胴や手足に強いかゆみと発疹が表れる。2回目以降の妊娠時に発症するケースが多いとされるが、初産でも少なくないという。出産すると改善するが、妊娠のたびに再発しやすい。アトピー性皮膚炎の傾向がある人は、かかりやすくなるとも言われる。
PUPPPもかゆみと共に、じんましんのような紅斑が腹部や大腿(だいたい)部、臀部(でんぶ)、上腕など広い範囲にできる。松田院長は、「妊娠性痒疹と違い、PUPPPは妊娠後期の30週以降に発症します。初産婦に多く、多胎妊娠との関連も指摘されています」と話す。
◇薬で対処、早期受診を
いずれの皮膚疾患も発症の仕組みがはっきり分かっていないため、予防することは難しい。発症した場合にはステロイドの塗り薬で炎症を抑え、妊娠中期に入ったら安全性の高い抗アレルギー剤を服用することもあるという。
松田院長は、「皮膚への刺激を少しでも減らすため、保湿も大切です。市販の薬では治りづらいので、ひどくならないうちに皮膚科を受診してください」と呼び掛けている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2018/08/01 12:50)
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