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国が在宅医療を推進する中で、薬剤師の役割が増しつつある。将来、薬局の中にいて薬の調剤だけに専念する薬剤師像は、過去のものになるかもしれない。そうした時代の要請に応えようと、100年以上の歴史を持つ京都薬科大学(京都市)、明治薬科大学(東京都)、星薬科大学(同)が教育プログラムの共同開発などに関する包括協定を結んだ。東京の二つの薬科大学学長に、協定の狙いや期待される薬剤師の在り方などを語ってもらった。
◇時代に沿った教育を
京都薬科大学が発案者となった包括協定の背景に関して田中学長は「一つの大学で考えるよりも、複数の大学で考えた方がよい。この3校はいずれも歴史が古い単科大学で、学生の質もある程度そろっている。そこで、協力して新しいカリキュラムを作っていくことになった」とし、石井学長は「包括協定を結ぶと、文部科学省の助成金補助制度の対象になる。できることを詰めていって、ある程度進んだら助成を申請しようということで動き出した」と話す。
◇調剤以外の仕事も
石井学長は「在宅医療に健康サポート薬局の薬剤師が関与し、その一端を担う。その仕事に対応できる薬剤師が必要になる。医師や看護師らととともに、一人の患者を介護することが求められる」。そのためには「薬局の調剤室の中にこもり、薬の調剤をしているだけでは駄目だ」と力説する。
3大学がスクラムを組んで取り組むプロジェクトでは、柱の一つに「複合的な課題を解決できる薬剤師の育成」を掲げた。これについて石井学長は「在宅医療では何が起きるか分からない。いざというとき、どんなことをしたらよいかを考え、対応していかなければならない」と補足する。
病院の現場でチーム医療が積極的に行われるようになってきた。田中学長は「特に救命救急の分野はそうで、薬剤師は搬送された患者に即刻対処し、適切な薬剤を投与しなければならない」とした上で、「在宅医療では、かかりつけ薬剤師・薬局が重視される。薬剤師は患者と直接接し、ケアをしていかなければならない。例えば、健康食品のことでも、患者は薬剤師の方が話を聞きやすい」と語る。
(2018/08/08 10:11)
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