治療・予防

日常生活送るために
医療的ケア必要な子どもたち

 日常生活を送るために医療的ケアを必要とする「医療的ケア児」。ケアの内容はたんの吸引や経管栄養などさまざまだ。医療的ケア児がおかれた現状と課題について、埼玉医科大学総合医療センター(埼玉県川越市)総合周産期母子医療センターの田村正徳センター長に聞いた。

 ▽家庭で過ごす意味

家庭でのきめ細かなケアが重要

 新生児集中治療室(NICU)でのケアがよりきめ細かくなったこともあって、超未熟児や先天的な病気を持つ子どもも命が助かることが多くなってきた。生命を維持するために胃に直接栄養を送り込む胃ろうや人工呼吸器が欠かせなくなることもあるが、医療や福祉的なサポートがあれば自宅に帰ることができる可能性もある。

 田村センター長は「子どもの成長のためには自宅で家族に囲まれることで親子関係を築いたり、兄弟と触れ合ったりすることが大切です」と強調する。子どもが長期間入院すると、活動範囲が限られてしまい、友だちや兄弟との遊びや地域の人との触れ合いといった、社会の中で得られる多くの経験や機会が奪われることになる。

 現状では自宅に帰ってから受けられるサポートは限られる。医療的ケア児は、誤って人工呼吸器のチューブを抜いてしまうなど、幼い時ほど目が離せない。田村センター長は「その負担はほとんどが家族、特に母親にのしかかってくるのが実情です」と話す。

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