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肺の血管が急に詰まって呼吸困難やショックを起こし、死ぬこともある「急性肺血栓塞栓症」。長時間、飛行機に乗った後に発症するケースが多いため「エコノミークラス症候群」とか「ロングフライト血栓症」とも呼ばれる。座った状態が続くことで起こりやすく、災害後に車中泊をする被災者や長期入院患者のリスクも高い。平塚共済病院(神奈川県平塚市)の丹羽明博院長に予防法などについて聞いた。
▽血栓、足の静脈に
急性肺血栓塞栓症は、血液の成分が固まってできた塊(血栓)が血液の流れに乗って肺まで到達し、肺の動脈を詰まらせる病気だ。血栓は足の静脈にできることが多く、長時間同じ姿勢でいることで血液の流れが悪くなったり、血管が傷ついたりすることが原因だ。
長期入院で血流が滞ることも
丹羽院長は「長時間同じ姿勢のままだと、ふくらはぎの筋肉が血液を押し戻そうとするポンプ機能が使われず、血流が滞り血栓ができやすくなります。この血栓が歩行などをきっかけに血管から剥がれ肺の動脈まで流れていくのです」と説明する。さらに、飛行機などでトイレに行くのが面倒と水分を控えると、血液が濃縮されて血栓ができやすくなるという。
急性肺血栓塞栓症は、長時間同じ姿勢でいる長期入院患者にも発症することがある。整形外科で脚の手術をした後や、血管が傷つく恐れのあるカテーテル検査などの後は注意が必要だ。丹羽院長は「多くの医療機関が周期的に脚を圧迫する『フットポンプ』や『弾性ストッキング』などで、予防対策に努めています」と話す。
▽ふくらはぎに痛み
死亡する危険性もあるだけに、急性肺血栓塞栓症は予防が重要だ。「旅行中もふくらはぎのポンプ機能が使えているかどうか意識することが大切です。定期的に足を動かし、十分水分を取り、トイレを我慢しないようにしましょう」
過去に急性肺血栓塞栓症や下半身の静脈血栓症を起こしたことがある人はリスクが高い。丹羽院長は「ふくらはぎを圧迫して痛みがあるかどうかで血栓の兆候が分かります」と簡単な自己診断法を紹介する。
また、長時間同じ姿勢を続けた後、動悸(どうき)や息切れ、ふくらはぎの痛みがあったら「静脈に血栓がある可能性を考え、早めに循環器内科を受診してください。深刻な症状を起こす前に、血栓を溶かす薬などで治療することが大切です」と話している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2018/12/04 06:00)
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