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既存の治療では発作を抑えられない重症の気管支ぜんそくに対して、最近登場した「気管支サーモプラスティ(BT)療法」と呼ばれる治療法が効果を上げている。近畿大学医学部付属病院(大阪府大阪狭山市)呼吸器・アレルギー内科の東田有智教授に話を聞いた。
重症になると発作の回数が増え、症状も重くなる
▽薬物療法、1割には不十分
気管支ぜんそくは、空気の通り道となる気道に炎症が生じて気道が狭くなる病気だ。気道に炎症が起きると、気道の壁にある「平滑筋」がさまざまな刺激に過敏に反応して収縮することで、息切れやせき、呼吸困難などの発作が起こる。
平滑筋が厚くなると、気道が狭くなって発作が増え、症状も重くなる。自宅での治療が難しくなって、入院することもある。
気管支ぜんそくの治療はこれまで、発作の予防として定期的なステロイド薬の吸入や抗アレルギー薬の服用、発作時には気管支拡張剤の吸入や服薬と薬物療法が中心だった。しかし、患者の約1割が薬では発作を十分抑えられず、新しい治療法の開発が待たれていた。
▽発作軽減や減薬も
東田教授は「BT療法は、気管支に細い管(カテーテル)を通し、気管支の内側を65度に温めることで、厚くなった平滑筋を焼いて薄くする方法です。平滑筋の量を減らすと、収縮力が弱まり発作が抑えられ、気道も広がります」と説明する。BT療法は3週間以上の間隔を空け、3回に分けて行う。各回、2泊程度の入院が必要だ
これまで近畿大学医学部付属病院でBT療法を受けた患者の約9割に発作の回数が減るなどの効果が見られ、減薬にもつながっているという。年に3~4回は入院していた患者の中で、入院を必要としなくなったケースもある。
BT療法は2015年度から保険適用となり、全国の専門施設で治療が始まっている。対象は18歳以上で、薬物治療を行っても症状のコントロールができない重症のぜんそく患者に限られる。
「既に全国で約400人がBT療法を受けています。日常生活が妨げられていた重症の患者さんにとって期待の持てる治療法です」と東田教授は話している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2018/12/26 06:00)
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