気管支ぜんそく〔きかんしぜんそく〕 家庭の医学

[原因]
 呼吸するときのゼーゼーという音(喘鳴〈ぜんめい〉)を伴った呼吸困難を発作性にくり返す病気です。1~5歳までに病気になることが多く、原因の多くはアレルギー、特にハウスダスト(塵〈ちり〉)とダニに対するアレルギーです。アレルギー反応により、気管支が収縮して空気の通り道を狭くするため、呼吸困難や喘鳴、せきが出現します。

[症状]
 発作は重症度により3段階に分けられています。小発作は軽い喘鳴があり呼吸困難は軽度のものです。中発作はあきらかな喘鳴と陥没呼吸をみとめ呼吸困難があり、会話もとぎれがちになります。
 大発作では著明な喘鳴、呼吸困難、起坐(きざ)呼吸を呈し、ときにチアノーゼをみとめます。

[治療]
 小発作では、β2刺激薬(気管支を拡張する作用がある)を吸入します。中発作では吸入を反復し、酸素吸入や副腎皮質ステロイド薬の静脈注射をおこない、必要があればアミノフィリン製剤(この薬も気管支を拡張する作用がある)の静脈注射も考慮します。
 大発作では中発作の治療に加え、より強力な気管支をひろげる薬(イソプロテレノール)の吸入や静脈注射をおこないます。気管内にチューブを入れて人工呼吸器による呼吸管理が必要なこともあります。
 発作の予防には、ロイコトリエン拮抗薬の服用、クロモグリク酸ナトリウムの吸入をおこないます。中等症持続型と重症持続型では副腎皮質ステロイド吸入薬を第一に使用することが推奨されています。
 また、アレルギーの原因であるハウスダストやダニ、カビ、動物上皮を除去することを心掛けます。具体的には、掃除機で床のほこりをこまめに吸いとる、床をじゅうたんや畳でなくフローリングに替える、寝具をまめに干し、ほこりをはたいたあと電気掃除機をかける、純毛や羽根ぶとんはやめる、枕もそばがらやもみがらはやめてスポンジかホームラバーにする、イヌやネコなどのペットを飼わない、家族全員の禁煙などの生活環境の整備をします。さらに、薄着や乾布摩擦で皮膚を鍛練したり、水泳などの適切な運動で、からだを鍛えることは大切です。
 ぜんそく発作は、生命にかかわる重篤な状態におちいる可能性があることを認識し、発作を予防することに心掛け、発作時は必ず医療機関を受診することが大切です。

【参照】呼吸器の病気:ぜんそく

(執筆・監修:自治医科大学 名誉教授/茨城福祉医療センター 小児科 部長 市橋 光
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