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日本の糖尿病患者の死因1位はがんだ。国立がん研究センター中央病院(東京都中央区)総合内科の大橋健科長は「2001年から10年までのデータでは、がんは糖尿病患者の死因の4割近くに達しました」と話す。いずれも「国民病」といわれる身近な病気だが、それらの関係について大橋科長に聞いた。
糖尿病患者のがん発症リスク
▽リスクは1.2倍
日本糖尿病学会と日本癌(がん)学会の合同委員会による報告で、2型糖尿病患者はそうでない人と比べ1.2倍がんになりやすいことが示された。特に肝臓がんが1.97倍、膵臓(すいぞう)がんが1.85倍と高い。大橋科長は「糖尿病ががんの発症リスクになることが分かってきました」と話す。
高血糖で酸化ストレスが促進されてDNAが傷つくことで、がん細胞が増殖する可能性が指摘されている。また、インスリンが効きにくい糖尿病患者は、血液中のインスリン濃度が高くなる。インスリンには細胞を増殖させる働きがあるため、それが増え過ぎることで細胞のがん化につながるという説もある。
ただ、適切に血糖をコントロールすれば、がんの発症リスクを減らすことができるかどうかは、結論は出ていない。
▽がん治療にも影響
高血糖の状態を放置しておくと、がん治療に与える影響も大きい。高血糖状態が続き腎臓の機能が低下すると、抗がん剤を十分投与できないことがある。また、抗がん剤による吐き気を予防するため服用するステロイドは血糖値を上昇させるため、血糖コントロールが一層難しくなる。
さらに、「血糖コントロールが不十分だと手術の傷が治りにくく、感染症のリスクが高まることに加え、抗がん剤の効き目にも影響する可能性があります」と大橋科長。
糖尿病患者が日頃から注意すべきことは、糖尿病の治療の柱である薬物療法と食事療法、運動療法を適切に行うことだ。大橋科長は「糖尿病とがんの共通リスク因子である肥満や運動不足、不適切な食事、喫煙などの生活習慣の改善は、糖尿病の治療だけではなく、将来のがんリスクを減らす一石二鳥の効果があります。糖尿病の患者さんはがんのリスクが高いことを踏まえ定期的にがん検診を受けましょう」と呼び掛けている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2019/01/09 05:59)
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