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体を動かす筋肉や骨、関節など運動器の障害により、「立つ」「歩く」といった基本的な動作能力が低下する「ロコモティブシンドローム(ロコモ、運動器症候群)」。高齢者の症状と思われやすいが、最近、しゃがめない、片脚立ちでふらつくといった子どもが問題になっている。「NPO法人全国ストップ・ザ・ロコモ協議会」副理事長を務める林整形外科(さいたま市)の林承弘院長に「子どもロコモ」について聞いた。
子どもに広がる運動器機能の低下
▽4割に機能不全
跳び箱で手首を骨折したり、転んで歯を折ったり、危険回避能力が備わっておらず、腰痛、肩凝りなど、体に深刻なトラブルを抱える子どもが目立つようになってきた。
埼玉県医師会が県教育委員会と協力して、県内の幼稚園児から中学生までの1343人を対象に行った調査によると、〔1〕片脚でしっかり立つ〔2〕腕を真っすぐ上げる〔3〕しゃがみ込む〔4〕体を前屈させる―という基本動作が一つでもできない子どもが約4割に上り、運動機能不全の兆候が見られた。
林院長は「子どもの体は柔軟なはずですが、腕や体幹、太ももの筋肉の柔軟性やバランスが損なわれ、関節の動きが悪くなっている子どもが増えています」と危機感を募らせる。気になるのは、背中の上部にあり、自由に動くはずの肩甲骨の動きが鈍くなっていることだ。進行すると猫背や腰痛、肩凝り、頭痛などを引き起こすこともある。
「子どもの肩甲骨の高さが左右でそろっているか、柔軟に動くかなどを着替えや入浴時に観察してほしい。家庭で親が気付けば、解決の糸口になります」と林院長。
▽子どもロコモ体操
子どもロコモは、運動不足やゲームのし過ぎなどで姿勢が崩れていることが要因だ。生活習慣を見直すことが大切だが、早期に効果を上げるため「子どもロコモ体操」が推奨されている。
両手を組んだまま手のひらを上に向けて背伸びすると、肩甲骨が引き上げられ姿勢が改善する。また、股関節から体を折るようにお辞儀して、膝を曲げ両手を床に着け、そのままゆっくり膝を伸ばすと、前屈しやすくなる。足の指でグー、チョキ、パーをすると、足指の働きが良くなる。
林院長は「体を動かす遊びを生活に取り入れることが、最善の解決法です」とアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2019/01/10 06:00)
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