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糖尿病患者の足に表れるトラブルを総称し「糖尿病足病変」と言う。悪化しやすく、血流の停滞や感染で、足や爪先の組織が腐る壊疽(えそ)を起こし、切断せざるを得ないこともある。奈良県立医科大学付属病院(奈良県橿原市)整形外科の田中康仁教授に糖尿病足病変の早期発見の方法や予防法について聞いた。
日頃からフットケアを欠かさずに
▽痛みなどの感覚鈍化
糖尿病足病変には、足指の変形や爪の変形・変色、たこ・うおのめ、水虫、靴擦れ、潰瘍(ただれ)、壊疽などがある。健康な人でも足のトラブルは起きるが、糖尿病があると神経障害や動脈硬化による末梢(まっしょう)血流の悪化、免疫力の低下などで、潰瘍や壊疽といった深刻な事態を招きかねない。
田中教授は「糖尿病患者は、神経障害で痛みや熱さなどの感覚が鈍り、けがややけどをしても重症化するまで気付きにくく、傷を治すのに必要な血液が行き渡らず治りにくくもなります。また、免疫力の低下で傷などが化膿(かのう)しやすく潰瘍が生じ、重篤になると下肢の組織が壊死(えし)するリスクを負います」と説明する。
潰瘍の治療は長くかかり、入院が必要になることもある。足の壊疽が起きると、敗血症と呼ばれる全身感染を引き起こして、足や爪先、ふくらはぎ、太ももを切断せざるを得なくなるケースもある。血流が滞って筋肉が崩壊していくことによる激痛から免れたいがために、自分から切断を希望する患者もいる。
▽日々のケア不可欠
田中教授は「潰瘍や壊疽まで起こらないよう病変を早期発見・早期治療するには、日頃のフットケアが欠かせません」と強調する。まず、ふくらはぎやすね、足の裏、かかと、指先を毎日よく観察する。特に、長時間の歩行や運動の後には、傷やたこ、うおのめができていないか確認する。足を清潔に保つことも大切だ。かかとが乾燥してひび割れると細菌などに感染しやすくなるので、保湿クリームなどを塗る。
合併症で視力が低下することもあるので、爪を切る際には注意を払う。たこやうおのめも自分で削らず、専門家に任せた方が無難だ。小さな傷でも、数日観察を続け、赤みや腫れ、うみなどの症状が表れたら、フットケア外来などを受診する。
田中教授は「糖尿病の定期的な診療時にも、足に異常がないか診てもらうとよいでしょう」とアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2019/01/13 06:00)
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