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虫歯と歯周病に次ぐ第3の歯の疾患と注目されているのが「酸蝕歯(さんしょくし)」だ。酸性の強い飲食物で歯が溶けてしまう症状を指す。外務省共済組合歯科診療所(東京都千代田区)の医師で東京医科歯科大学非常勤講師の北迫勇一氏は「局所的な虫歯と比べ、症状が口全体に広がる厄介な病気です」と警鐘を鳴らす。
飲食物の酸性度
▽歯が欠けることも
酸蝕歯の要因となるのは、コーラや栄養ドリンク、スポーツドリンク、黒酢、リンゴ酢、ドレッシング、レモン、グレープフルーツといった酸性度の強い飲食物だ。逆流性食道炎や過食症・拒食症で嘔吐(おうと)を繰り返していると、胃液が歯を溶かす原因にもなり得るという。飲食物による酸蝕歯は歯の表面に多いが、胃酸が原因の場合は、歯の裏側全体に広がるのが特徴だ。
▽4人に1人が酸蝕歯
北迫医師が2014年に15歳から89歳の男女1108人を対象に行った調査では、4人に1人が酸蝕歯だった。酸蝕歯が怖いのは、健康に良いと思って飲食しているものが原因になることだ。ダイエットのため黒酢をそのまま飲んでいる、かんきつ類をよく食べる、熱中症予防のためスポーツ飲料をよく飲む人は注意が必要だ。
「熱中症予防のため水分を小まめに取ることが奨励されますが、スポーツ飲料などをちびちび飲むと唾液の保護作用が追い付かず、歯が溶ける可能性が高くなります」と北迫医師。
重症の酸蝕歯の治療では、詰め物をするのが一般的だが、それほど深刻でなければフッ素配合の歯磨き粉などを活用してエナメル質の強化を図ることが多い。
酸蝕歯を防ぐには、酸性の飲食物が歯に触れる時間を少なくすることが大切だ。飲み物ならストローを使うと歯への接触が少なくなる。飲食後には水やお茶を口に含むかガムをかんで、口内の酸を中和させる。食後の歯磨きは30分ほどたって唾液で酸が中和されてから行うのが良いという。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2019/01/14 06:00)
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