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大阪大学大学院医学系研究科(大阪府吹田市)統合医療学寄付講座准教授の大野智医師はがんの治療にヨガを取り入れている。退院後のがん患者が抱える再発の不安などを和らげ、生活の質(QOL)を高めようという試みだ。
笑顔になり、気持ちが明るくなる効果も
▽患者のストレス解消に
大野医師は「がんの患者さんは退院後も化学療法などの副作用による手足のしびれや脱毛、再発の不安など、さまざまな悩みを抱えています。ところが、そのような患者さんの悩みに病院側のケアは十分ではありませんでした」と指摘する。
大阪大学医学部付属病院では現在、がん患者対象の「ヨーガ療法教室」を行っている。インドが起源のヨガは、ゆっくりした動きや姿勢、腹式呼吸が特徴だ。がん患者のストレスの解消や睡眠の質の改善に効果があるという研究結果もある。
この教室は、がんの相談や化学療法などを行う施設で隔週の開催。定員は約10人だが、これまで約100人が参加しているという。30~70歳代の女性が多く、がんの種類は乳がん、子宮がん、卵巣がん、大腸がんが大半を占める。
▽緊張緩和と血行改善
教室では、椅子に座った姿勢での腕の上げ下げや、太ももに力を入れて膝を閉じるといった動きを、腹式呼吸しながら行う。鼻で吸って口からゆっくり息を吐く腹式呼吸は、体が休息しているときに働く副交感神経を活発にし、緊張をほぐす効果があるという。
手足のしびれは、血液循環不全が原因と考えられ「筋肉の緊張をほぐすことで血行が良くなり、しびれや痛みの改善につながるようです」と大野医師。受講後のアンケートには「一瞬だが再発の不安から逃れられ、気持ちが落ち着いた」「寝る前に行ったら寝付きが良くなった」などの声もあった。
大野医師は「気持ちが楽になり、よく眠れるようになるなどQOLが改善します。参加者同士で会話も弾み笑顔になり、気持ちが明るくなるようです」と効果を強調している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2019/01/25 06:00)
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