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ぜんそくは、発症のきっかけも症状の経過も人によって異なるが、そこに肥満が関与しているケースは少なくない。東京女子医科大学病院(東京都新宿区)呼吸器内科の玉置淳主任教授は「肥満はぜんそくの発症や重症化のリスクを大幅に高めるので、治療とともに食事と運動による肥満対策が重要です」と話す。
薬による治療に加え、運動や食事管理による肥満解消も大切
肥満は、ぜんそくの発症要因の一つであり、悪化要因でもあるという。玉置主任教授は「肥満があるとぜんそくになりやすく、ぜんそくの人が肥満になると、症状が重症化しやすく、薬が効きにくいという特徴があります」と話す。
日本では、体格指数(BMI)25以上を肥満。BMI25以上の人がぜんそくになるリスクは、25未満の人の約1.4倍、30以上では約1.9倍になると報告されている。
肥満がぜんそく症状を悪化させやすい理由には、次のことが考えられる。一つは、腹部に脂肪がたまると腹圧が高くなり、横隔膜が上がって呼吸機能が低下するためだ。
二つ目には、脂肪細胞から分泌されるレプチンというホルモンの関与がある。玉置主任教授は「ぜんそくでは、好酸球という白血球の一種が気道に集まり炎症を起こしています。肥満でレプチンが増えると、好酸球が死ににくくなり、結果的に炎症が長引き重症化しやすくなります」と説明する。同時に、同じ脂肪細胞から分泌され、レプチンの働きを抑えるアディポネクチンというホルモンが減り、気道の炎症に拍車がかかってしまうという。
肥満が関連している場合、ぜんそくの治療とともに減量も行う。肥満が解消されると、ぜんそく症状が大幅に改善されることが多いという。特に小児の肥満解消は、ぜんそくだけでなく、生活習慣病予防にも重要だ。
ぜんそくは、高齢になるほど、肥満の他にもさまざまな要素が複雑に絡み合い、治療が難しくなる。悪化する前に治療することが大切だという。
症状が治まると治ったと考えがちだが、玉置主任教授はそうではないとくぎを刺す。「薬で症状を和らげたり、発作を予防したりするのが今の治療法なので、自己判断で勝手に薬をやめてはいけません。治療をしながら、食事の管理と継続した運動で肥満を防ぎ、風邪を引かないようにするなど、普段からリスクを下げておくことが必要です」と強調している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2019/02/02 06:00)
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