一流に学ぶ 天皇陛下の執刀医―天野篤氏
(第15回) 大震災もひるまず執刀 =悔悟の念、吹っ切る契機に
「あの日のことはよく覚えています」と天野氏。手術台には患者が横たわり、スタッフたちは床にずれ落ちないよう、その体を必死に押さえた。手術はすでに始まっており、患者の胸を開き心臓を止めて、人工心肺装置につないだ後だった。
建物は最初に縦、その後は横に揺れ、手術室の無影灯は振られてブンブンと音を立てて動いていた。「あれが落ちてきたら死ぬなと思いました」と振り返る一方で、「この状況であきらめたら、おやじをあきらめたのと同じことになる。患者を絶対に助けないと駄目だぞ、と自分に言い聞かせました」と話した。
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(2017/02/27 11:46)