一流に学ぶ 人工股関節手術の第一人者―石部基実氏
(第10回)まるで武道の達人=迅速な手術、患者の負担減
石部氏は、手術着に着替え、防護服を身に着ける時に、少林寺拳法のあいさつである合掌の儀式を欠かさない。
「精神統一のために行っています。普段の自分から、手術に集中する状態にモードを切り替える意味もあるんです」
◇ナビシステムが威力発揮
麻酔がかかると、まず、切開創から軟骨が擦り減って傷んだ大腿骨の骨頭を切り離して摘出。臼蓋の内部をナビゲーションシステムのためのマーカーがついている臼蓋リーマーという器械を使って削っていく。どのくらい削るかは、臨床工学技士(ME)がナビゲーションシステムの画面で確認しながら「どの角度にあと何ミリ」と、口頭で逐一伝えていく。
たった7センチの切開創で視野が狭くても人工股関節を正確な位置に設置することができるのは、ナビゲーションシステムがあるおかげだ。
骨盤にアンテナを固定させ、ナビゲーションシステムが指示している部分に数カ所、ポインターで印をつけて現在位置を示す。あらかじめ手術前に撮影し、コンピューターで画像処理をした情報とリンクさせると、患者の股関節が3次元で画面に映し出される。アンテナについているマーカーをナビゲーションシステムの赤外線カメラがキャッチして、現在、どの位置をどの角度で削っているのかがリアルタイムで分かる。
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(2017/06/30 14:35)
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