一流に学ぶ 心臓カテーテルのトップランナー―三角和雄氏
(第3回)
趣味の将棋で「考える力」
東京でカルチャーショック
上京してからはカルチャーショックの連続だった。下宿先の朝ご飯で納豆を初めて見たときの衝撃は忘れられない。「ネバネバして、そんなににおいの強いものをよく食べられるなあと。大阪で売ってるのを、私は見たことがありませんでしたから」。納豆に含まれるナットウキナーゼという成分には、血栓溶解作用があり、血管の詰まりを効果的に溶かす働きがある。冠動脈疾患を防ぐ食べ物として、三角氏はテレビ番組で推奨しているが、自身は「1回も食べたことがない」と話す。
そば屋で注文したたぬきうどんにもびっくり。「汁が透き通ってなくて、麺が見えない。ドギマギすることばっかりでした」。今でこそ、関西風のつゆを使った専門店が当たり前だが、当時はしょうゆのたっぷり入った関東風しかなかった。そもそも大阪ではたぬき=油揚げとそば、きつね=油揚げとうどん。しかし東京では、たぬき=天かす、きつね=油揚げで、それぞれ、そばとうどんがある。つまり大阪では、たぬきうどんやきつねそばは存在せず、このことも知って衝撃を受けたのだ。
大学は単位を落とすこともなく順調に進級した。医学部でも成績は良い方で、卒業時には成績上位者に授与される長尾優学術奨励賞(金時計)をもらえたが、毎日休まず大学に通うタイプではなかった。「勉強もそこそこしましたが、皆勤賞ではなく、学生生活を満喫しながらでしたね」
東京医科歯科大は医科と歯科だけの大学で、部活動が活発に行われる環境ではなかった。
「僕は語学が好きなので、必須のドイツ語(第二外国語)の他、フランス語、ロシア語、ラテン語なども勉強しました。中学が英語教育に力を入れている学校だったこともあり、単語帳を作って一生懸命書いて、読んで、覚える。語学学習に王道はないですよ。コツコツやるしか他に手がないですから」。学生時代に語学の基礎をしっかり学んだことが、海外留学や米国での医師生活に大いに役立った。
(2018/01/30 10:00)
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