一流の流儀 「信念のリーダー」小久保 裕紀WBC2017侍ジャパン代表監督
(第7回)4番の重責と初優勝
最大の壁乗り越えて
日本シリーズ初優勝。福岡に凱旋(がいせん)
小久保裕紀さんの放つホームランは、いつも空高く舞い上がり、美しく弧を描いてスタンドに吸い込まれた。その美しい軌道は、ファンの心を捉えた。天性だけで、人より飛距離を伸ばせたわけではない。白球をより遠くに飛ばせるように筋力アップのトレーニングを行い、体を作り上げた。その筋肉が落ちた今の体重は、現役時代から10キロも減って、すっかりスリムになったと言う。「プロ野球に入って最初の頃は、レギュラーを取りたい一心で人よりも努力をしました。個人のタイトルは2年目にホームラン王、4年目に打点王を取ることができました」
「でも」と小久保さんは付け加えた。
「1999年にダイエーホークスが優勝した時の喜びは、それらとは比べものになりません。やはり、団体スポーツというものはこれなのだな。野球に出合えてよかったなあ、と心から思えました。本拠地を福岡に移して初めての優勝でしてね。街中の人が皆笑顔で、エネルギーにあふれていたのです。こんなに人に影響与えられる職業って、個人競技ではありえないなあと思いました。これだけのファンに感動与えられると感じた1999年は格別です」
街中がお祭り騒ぎとなる中、小久保さんが歓楽街の中洲を歩いていた時に、前から走ってきた男性に「ありがとう」と言って抱きしめられたのも良い思い出だ。
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(2018/09/04 10:00)