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サプリメントについて考える
~正しい情報で判断しよう~ 第7回

 これまでに、子どもから高齢に至るまで各世代におけるタンパク質に関係する話題を取り上げてきました。けれども、一つだけ全世代に共通する話題に触れてこなかったことにお気付きでしょうか。それは「サプリメント」についてです。

 「子どものおやつにプロテインバーを食べさせてもいいですか?」

 「おじいちゃんにタンパク質強化ゼリーを準備した方がいいですか?」

 「スポーツをしているので、プロテインを毎晩飲んでいます!!」

 「疲労回復のためにアミノ酸が良いと聞いたので、ネットで買ってみました!!」

 などなど…。実は、食事に関してお話しさせていただくと、多くの方からタンパク質が多く含まれるサプリメントに関する質問をいただきます。

 そこで今回は、サプリメントに焦点を当てて解説したいと思います。

 ◇サプリメントには定義がない!?

 サプリメントという言葉はよく知られています。さて、サプリメントとは何でしょうか?

 実は、多くの人が使っているサプリメントという言葉には決まった定義がありません。ある辞書には「ビタミンやミネラルなど不足しやすい栄養素を補うための食品。栄養素を凝縮し、錠剤や飲料の形にしたものが多い」と書かれていますが、何とも曖昧ですね。おそらく多くの方は、栄養を補う食品としての役割を期待しているのでしょう。そして、何らかの効果を期待してサプリメントを使用している方もいらっしゃるかもしれません。サプリメントの形状は錠剤や飲料、粉末状、カプセル、ゼリーなど多岐にわたります。そこに惑わされている面もあるのではないか、と考えます。

健康食品とは何か

 同じような使われ方をする言葉に「健康食品」があります。ご存じでしょうか? この健康食品という言葉も、辞書によると「健康の維持・増進に効果があるとされる食品」と書かれているのですが、サプリメントと同様に法的な定義はないのです。しかし、消費者庁や厚生労働省では、世の中にこれだけ健康食品と呼ばれる類いの物が流通していることを踏まえ、健康食品に関する情報提供を行っています。

 ◇健康食品って何でしょう?

 消費者庁、厚生労働省のHPを基に健康食品の位置付けとして図を示しましたのでご覧ください。

 まず、医薬品(医薬部外品を含む)以外の全ての飲食物を「食品」と呼びます。食品には「一般食品」と呼ばれる物の他に、健康食品として位置付けられる物があり、以下の2種類に分類できます。

 【国の制度に基づき機能性等の表示が許可されている食品】

 これが、「保健機能食品」と呼ばれている物に該当します。「保健機能食品」には3種類あります。

 特定保健用食品 通称は「トクホ」です。生理的機能や保健機能があることが科学的に認められ、その機能の有効性や食品の安全性に関する国の審査を個別に受けた後、消費者庁長官より許可(承認)された食品です。ひと目で分かるように認定マークが付いています。また、「コレステロールが高めの方の食品」「虫歯の原因になりにくい」「血圧が高めの方へ」「お腹の調子を整える」など、効能を記載することが許されているのも特徴で、言い過ぎの宣伝文句になっていないかを厳しくチェックしています。

 栄養機能食品 健全な成長・発達・健康の維持のために必要な栄養成分(ビタミン類、ミネラル類など)について、不足しないように補給・補完することを目的とした食品です。そのため、既に科学的根拠が確認された栄養成分を一定の基準量含んでいれば、国への許可申請や届け出の必要はなく、製造・販売できます。ただし、栄養機能の表示は国が定めた表現でなければなりません。併せて、注意喚起も表示しなければなりません。表に栄養機能食品として機能表示ができる成分と表示の一例を示しましたが、皆さんもこれらの栄養成分について記載がある栄養機能食品を見つけてみてください。

ビタミンやミネラルなどの補給を目的とした栄養機能食品

 機能性表示食品 2015年より始まった機能性表示食品制度により、事業者の責任で科学的根拠に基づいて機能性を表示した食品です。この表示については、販売前に安全性と機能性に関する根拠となる情報が消費者庁長官へ届けられています。ただし、個別の許可を受けたものではありません。商品のパッケージに「機能性表示食品」と明示した上で販売されていて、消費者庁に提出された内容は消費者庁のウェブサイトで公開されているため、誰でも商品情報を確認することができます。一方で、承認(許可)申請ではないため、安全性が曖昧であることが問題となっています。

 【機能性などの表示が認められていない食品】

 いわゆる健康食品と呼ばれている食品がこの部類です。例えば、栄養補助食品、健康補助食品、栄養調整食品、栄養強化食品、自然食品などと呼ばれている食品はここに含まれる物が多いはずです。ある栄養成分が強化されていたり、効能が協調されていたりすると、世の中では健康食品として認識されてしまいますが、安全性や効果の確認がされていない可能性もあるということです。消費者としては、効果効能を誇大表示している商品を見抜く力が必要ですね。

 ◇さらに注意が必要な商品

 いわゆる健康食品として流通している物の中には、違法に医薬品成分を含有していて、実際は食品ではなかった製品、食品であるにもかかわらず医薬品のように疾患の治療や治癒をうたった製品など、明らかに違法な商品が流通してしまっていることがあります。これを「無承認・無許可医薬品」として、厚生労働省がHPで情報を提供しています。

 ◇サプリメントはどこに分類?

 さて、今回はサプリメントを理解するために、食品の分類について解説しました。日常、皆さんがサプリメントと認識している商品の中には、保健機能食品(特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品)はもちろん、医薬品や違法製品も含まれているかもしれないことをご理解していただけたでしょうか。皆さんが購入しようとしているサプリメントはどこに分類されるのか?目の前の情報が正しいかどうかを判断できるスキルを身に付けた上で、サプリメントと向き合っていただきたいと願っています。(了)

 今村佳代子(いまむら・かよこ)
 管理栄養士・公認スポーツ栄養士。鹿児島純心大学・看護栄養学部健康栄養学科准教授。日本女子大学家政学部食物学科卒業。病院勤務を経て同大学大学院修士課程修了。現在は大学で管理栄養士養成に従事する傍ら、高校生・大学生アスリートへ栄養サポートを実施する。Webサイト「アスレシピ(日刊スポーツ新聞社)」に『KAGOSHIMA×食』グループでコラム・レシピを執筆。



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