知っておきたいコーヒーの効能
~死亡リスク低下(北品川藤クリニック 石原藤樹院長)~
かつては健康に良くないとも指摘されたコーヒー。しかし近年では健康増進の効果があることが分かり、そのポジションが大きく変わってきたようだ。北品川藤クリニック(東京都品川区)の石原藤樹院長は「コーヒーにはさまざまな病気を予防する効果があります」と話す。
コーヒーの摂取量と総死亡リスク
◇糖尿病の改善効果も
国外で行われた40万人以上の健康調査では男性で10%、女性は15%ほど総死亡リスクが小さいというデータが出た。ここまで総死亡を減らすサプリメントや薬は他にほとんどなく、地域性などにかかわらず、世界中から同じような報告があるという。日本の調査でも1日3~4杯飲む人は、まったく飲まない人に比べて総死亡リスクが24%低いという画期的なデータが出ている。
コーヒーに含まれるカフェインの悪影響を心配する人もいるが、短時間で約5リットル飲まないとカフェインの致死量には達しないため、過度に心配する必要はないという。ただし飲み過ぎると寝付きにくくなるなどの問題が起きるので、適量を心掛ける。肝機能が正常の人であれば、基礎代謝を上げる効果も認められている。
また、コーヒーにはポリフェノールの一種であるクロロゲン酸も含まれている。これには脂肪の蓄積を抑える効果と、それによる糖尿病や脂肪肝の予防効果が期待されている。さらに、ニコチン酸と呼ばれるビタミンB群の一種も含まれており、善玉コレステロールを増やす効果があると言われる。これらの成分が相乗効果となって働き、コーヒーを飲むことで健康増進が期待できるのだ。
◇飲み方に工夫を
肝心の飲み方について、石原院長は「基本的にはブラックで飲みましょう」と話す。ミルクには動物性脂肪が多く含まれており、コーヒーの抗酸化作用と相反するため。また、砂糖にも、血糖値を上げる作用がある。ブラックが苦手という人は、無調整の豆乳や蜂蜜を入れ、飲みやすくするのがお勧めだ。
健康増進効果はレギュラーコーヒーでなくとも缶コーヒー、インスタントコーヒーでも期待できると言われている。
また、ホットでもアイスでも基本的な違いはないという。コーヒー豆の焙煎(ばいせん)で生じるアクリルアミドによる発がんのリスクが気になる場合は、エスプレッソなど味の濃いものは避ける方法がある。
心臓の機能が低下し不整脈が心配な人、妊娠中の人、カフェインの習慣性が気になる人、18歳未満の若い人、胃が弱い人―などは、「デカフェと呼ばれるカフェインレスのコーヒーを選ぶとよいでしょう」と石原院長はアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2022/12/25 05:00)
【関連記事】