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不登校の原因・きっかけ ~最新統計から見えてくるもの~ 【第3回】

 不登校は現代の日本社会が抱える重要な教育問題の一つです。文部科学省の最新の統計によると、2022年度の小中学校における不登校児童生徒数は過去最多の29万9048人に達しました。この数字は、全児童生徒数の約3.2%に相当します[1]。

 では、なぜこれほど多くの子どもたちが学校に行けなくなってしまうのでしょうか。最新の統計データを基に、不登校の原因やきっかけについて探っていきましょう。

不登校の主たる要因

 不登校の主たる要因

 文部科学省が公表している「令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」によると、不登校の「主たる」要因として最も多いのは「無気力、不安」です。小学校で50.9%、中学校で52.2%、高校で40.0%の不登校生徒がこの要因を抱えているとされます[1]。

 次いで多いのが「生活リズムの乱れ、あそび・非行」で、小学校で12.6%、中学校で10.7%、高校で15.9%となっています。「いじめを除く友人関係をめぐる問題」も無視できない要因で、小学校で6.6%、中学校で10.6%、高校で9.2%を占めています[1]。

 しかし興味深いことに、一般に不登校の主要因と思われがちな「いじめ」は、実際には小学校で0.3%、中学校で0.2%、高校で0.2%と、他の要因と比べて非常に低い割合となっています[1]。これは、予想外の重要なデータとして強調すべきです。

不登校の「きっかけ要因」

 また、公益社団法人子どもの発達科学研究所による「不登校の要因分析に関する調査研究」(令和6年)では、教師、不登校児童生徒、不登校児童生徒の保護者それぞれの視点から複数回答で不登校のきっかけ要因を分析しています。この調査で特筆すべきは、「不安・抑うつの訴え」が不登校児童生徒の76.5%、保護者の78.4%から要因として挙げられている一方で、教師は19.0%しか、この要因を認識していないという点です[2]。

 同様に「体調不良の訴え」や「睡眠の問題」についても、児童生徒や保護者の認識と教師の認識の間に大きな隔たりがあることが明らかになっています[2]。これらの差異は、教師が生徒の精神状態や症状を把握することの難しさを示唆するとともに、学校側が不登校児童生徒の精神衛生状態を適切に把握できていない現状を浮き彫りにしています。

 また、いじめに関しても児童生徒や保護者と教師の間で認識に開きがあるようです。教師に把握されないいじめは、まだまだ多く存在しているという事実があるのでしょう。しかし、複数回答の中の「きっかけ」としてはそれなりに多いものの、前述のデータ[1]と併せて解釈すると、継続的な不登校の「主たる」要因ではないと考えられます。

 さらに、そもそも「きっかけ」の中でも不安・抑うつ、睡眠障害、体調不良が最も多い要因であるというのは、どのように解釈すべきでしょうか。

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