日本呼吸器学会感染症結核学術部会は4月24日、気管支拡張症に対するマクロライド系抗菌薬の使用について、長期使用に伴うマクロライド耐性菌の出現や副作用のリスクが指摘されていることなどから「気管支拡張症に対するマクロライド系抗菌薬の適正使用のお願い」を公式サイトに掲出した。マクロライド系抗菌薬は、少量長期投与により気管支拡張症の急性増悪頻度が低減することが示唆されているものの、その適応については慎重な検討が必要であると注意喚起している。(関連記事「結局、気管支拡張症に吸入ステロイドは効くの?」)

適応外使用であることを熟慮した対応を

 マクロライド系抗菌薬は、細菌感染症に対する抗菌薬として開発され、抗炎症作用や免疫調節作用を有することから気管支拡張症を含む慢性気道疾患の管理に応用されるようになった。最近の研究では、気管支拡張症に対する同薬の投与により増悪の頻度減少、初回増悪までの期間延長が示唆されている。

 しかし、気管支拡張症に対するマクロライド系抗菌薬は現時点で適応外使用であるため、急性増悪を認めた既往のある患者に対し、気道クリアランス療法や理学療法などで十分な管理が困難な場合に適応を考慮すべきとしている。また、不必要な長期使用を避けるため、定期的な評価を行いながら治療継続を判断することが求められている。

 他方、マクロライド耐性菌の出現を防ぐには、Pseudomonas aeruginosa感染例や明確な適応のない症例においては他療法の検討が望ましく、副作用として報告されている消化器症状、肝機能障害、QT延長症候群による心血管リスク、聴覚障害などのモニタリングが不可欠である。

 さらに、国内では非結核性抗酸菌症が増加しており、診断未確定の患者が気管支拡張症または慢性下気道疾患患者に潜在していることが考えられるため、安易なマクロライド系抗菌薬の使用は予後を悪化させる可能性がある。

 日本呼吸器学会は、気管支拡張症に対するマクロライド系抗菌薬の適正使用の啓発、手引きの見直しなどによる抗菌薬耐性対策の推進を図るとともに、同薬の供給安定化に向け行政および製薬企業に働きかけ連携を強化する方針だ。

(編集部・小暮秀和)